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318 :本当にあった怖い名無し:2014/08/30(土) 21:29:26.29 ID:Wjc7QzVKb
男が立ち止まった。俺も気づいて停止する。Uもそれに習った。
「いた」
俺は息を吐きながらいった。
彼女が立っていた。出会った時と同様に白いワンピースを着ている。
線の細い体を件の大木にもたれさせている。
すると、電池が切れたようにUが倒れた。
「!」
「心配するな。私がやった」
平然と男が呟いた。
「気絶させたんですか」男は頷いた。
「あら、いつのまにそんなものを呼び出したの?」
彼女は男のほうを見ていった。俺はポケットから箱を取り出した。
「俺はバカだった。この箱の中に自分の髪の毛を入れてしまったんだ」
彼女が可笑しそうな目を俺に移す。
「そう」
「呪いを解いてほしいんだよ。俺はこいつらに呪いがかかるようにしたいだけだったんだ」
「いったでしょ? 自分の一部は入れちゃだめだって。それを守らなかったのだから呪われて当然よ。そこに情けなんてこれっきしもないわ」
「でも俺は何も悪くない!」
「あなた最初呪いをかけようとしてたじゃない。じゃあ当然呪詛返しも覚悟してたのよね。だったら今の呪われた状況を呪詛返しにあってると思えばいいんじゃない?」
「この人間と、その箱の中身を交換したい」
男が割り込んだ。

「……」
「お願いだ!」
「ダメ。だめったらダメよ聞かないわ」
「この少年にはお前の好く邪悪はもはや影をひそめ始めている」
「いじめられていたあなたならわかるでしょ。都合のいいことなんてないの。思い通りになることなんてないのよ」
「諦めて死ねっていうのか」
「呪うというのは、人を侮蔑するのと同等かそれ以上に穢れていて、とっても楽しいことなのよ」
「私はここだ」
彼女は男を見た。
「迷子は帰りなさいな」
「呼び出されたのだ。わかっているだろう。だから願いは聞き届けなければならない」
「そう」
直後、茂みが音を立てた。その茂みから立ち上がるようにして現れたのは、あの跳ねる化け物だった。俺はその禍々しい姿に怖気づいて、悲鳴をあげた。
「ちょうど獲物が揃っているんですもの。ね、クロボウ」
彼女は嬉しそうだった。俺は足が動かなかった。
現れたクロボウ(名称がわからなかったので勝手に命名)が飛び跳ねてくる。
男が手を伸ばした。瞬間、俺の視界が真っ暗になった。

瞼を持ち上げるとさっきと別の場所だった。
「ここは……」
「場所を変えた」
俺は頭痛がしてこめかみを押さえる。
「交渉は決裂、か。こうなったら呪いから逃げ続けるしかない」
俺は呟いた。
「無駄だ。あれは影さえあればどこででも現れ、お前を殺すだろう。この世には必ず影がやってくるんだ。逃げ場はない」
「もし呪いが解けなかったら、寿命の件はなしですよね」
「目ではなかったのか」
「寿命です」
「まぁ、焦るな。方法は考える」
するとUが目を覚ました。
「俺、どうして……」
「もう、だめかもしれない」俺はそういった。
「どうしたんだ急に。何が?」
「俺たちは殺される」
「はぁ!? あ、あの化け物に?! そんなのごめんだ! どうにかするっていったじゃないか」
「俺にいわないでくれよ。文句ならこいつに」俺は男を指差した。
「どこ指差してたんだよ誰もいないじゃないか!」
Uには見えていないことを思い出し俺はだらりと腕を下げた。
「元はといえば俺が悪いんだよな」
と、俺はUたちに呪いをかけたこと、だからあの化け物が襲ってきて、TもNも殺された。
俺の不手際でその化け物に狙われることになったことを全て話した。

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bronco

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