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713 :天使 ラスト   ◆oJUBn2VTGE :2008/04/30(水) 23:04:37 ID:NrJoj9WI0

「水星は大食。金星は欲情。火星は憤怒。木星は傲慢。土星は怠惰。月は嫉妬。そ
 れから太陽は――」
芝居じみた動きで彼女は指をひとつ、ひとつと折り、7番目となった左の人差し指
をゆっくりと折り畳みながら言った。
「強欲」
その言葉と同時に、私は彼女の机を両手で強く叩いた。周囲がビクリとして、一瞬
静かになる。そこに、冷ややかな言葉が降って来る。
「ねえ、わかるでしょう。彼女は彼女自身の星からは逃れられないわ。この世界に
 は、変わろうとする人間と、変わろうとしない人間しかいない。それはあなたの
 せいでも、わたしのせいでもない」
怒りだとか、悲しさだとか、悔しさだとか、そんな様々な感情が私の中で嵐のよう
に渦巻いて、目の前にパチパチと輝く火花を発している。
私は唇を噛んで、この氷細工のような女を殴りたい気持ちを必死で抑えていた。そ
んな私の姿を一見変わらぬ笑みで見据えながら、彼女は誘惑するような甘い囁きで
こう言った。
「かわりに、わたしがあなたの友だちになってあげる」

それが、間崎京子との出会いだった。

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bronco

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