Categories: 洒落怖

宝探し

どう考えても、鷲と蛙じゃ釣り合いがとれそうもない。
亮もそれは判っている様だった。
鷲はちゃっかり自分の物にして、僕には蛙でお茶を濁そうって事か。

「うん・・・でも・・・」

でも、あんな蛙なんかいらない。
全然ピカピカじゃないし、目だって赤い宝石じゃないし、それに蛙だ。
僕は鷲が欲しいんだ。

「そ、そっか、あれを取るのは骨が折れそうだもんね」

亮はあからさまに話を逸らそうとしてる。
蛙がかかっている壁には、下から梯子がかかっている。
穴は大きくて、どう考えても、底におりない限りは梯子に手は掛からない様だ。
しかし、ご丁寧に穴の手前に太いロープが置いてあった。
これで穴の底におりて、あちらの梯子を登れって事だろう。

「これは・・・協力しないと取れないよね」

亮が不安げに僕の顔を見る。

「そうだね」

その時の僕はきっと無表情だったろうな。
協力?
さっき僕に斬りつけたばっかりなのに?

「僕がロープをこっちで引っ張るから、たっくん取ってきなよ」

絶対そう言うと思ったね。
自分で降りるとは、絶対言わないと思っていた。
何時も嫌な事は僕にやらせようとするんだよな。

「うん、わかったよ・・・しっかり持っててよ、亮ちゃん」

僕はそう言うと亮の顔を正面から見据えた。

「もちろんさ!!たっくんがお宝手にする番だもん」

亮がにっこりと笑った。

「ねぇ・・・お守りの代わりに、僕に鷲のペンダント貸してよ」

「え・・・い、いいけど・・・蛙取ったらちゃんと返してね?」

僕は鷲のペンダントを首にかけた。
それだけで勇気がわいてきて、何でも出来るように思えた。
簡単だと思った。
亮の背中を押せばそれでお終いだ。

「うわぁ、高ぇ・・・下が全然見えないよ。ホラ、たっくんも・・・」

亮がこっちを振り返ろうとした時、足を滑らせた。
そう、滑らせたんだ。
僕は何もしていない。
ちょっとぶつかったかもしれないけど、わざとじゃない。
ちょっと、脅かしてやろうと思っただけだ。
亮がカッターナイフで僕を傷つけたように。

鈍い音が穴のそこで響いた。
亮の声は聞こえては来なかった。
兎に角、早くここは離れてしまいたい。
ここを出て、早く何もかも忘れてしまいたい。
でも、このペンダントを見て、思い出さないでいられるだろうか?
暗い気持ちを見透かした様に、鷲の目が僕を見ていた。
そんな訳ないのに、ペンダントが僕を見る訳なんてないのに。
僕は恐ろしい想像が膨らまないようにと、息が切れる程思い切り走った。
出口へ。

『早く出口へ行かなきゃ。』

『出口だ!!』

必死に走り、途中で何度も転んだけど、奥へと辿り着く時間の半分もかからずに出口までやって来れた。

『やっと出られる。』

僕は手をかけ、力一杯そのドアを開こうとした。
その時の僕の目は血走っていたと思う。
だけど、どんなに力を込めてもそのドアが開くことは無かった。
どうやら閉じこめられてしまったらしい。

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