Categories: 洒落怖

婆さんを捜して

この怖い話は約 3 分で読めます。

ボッ ボッ ボッ

鬼火だ。鈴の音の方向に見える。きっと親父の言っていた亡霊
に違いない。時折、鎧がきしむ音や槍がカチャカチャする音ま
で聞こえてくる。恐ろしいのは地面を這うように聞こえてくる
声とも叫びともわからない響きだ。

う”お”お”お”お”ぉ”ぉ”・・・

俺は怖くなり震えていた。明らかにこの世に怨恨を残して死ん
でいった魂達だ。俺達の30mくらい先を、麓から山頂に向けて
行軍していた。どれくらい時が経っただろう、親父が「もうい
いぞ」と言うので目を開けた。やつらはいなくなっていた。鳥
居は真っ黒になり焼け焦げていた。

俺たちは先へと進んだ。

しばらく登ると少し開けた場所に出た。古い石碑があったので、
懐中電灯で照らすと「首切り塚」と書いてある。自殺の名所だ。
俺の友達のお兄さんもここで亡くなった。昔ここで罪人の首を
斬って崖下へ投げ落としたのが名前の由来らしい。途端にゾク
ゾクしてきた。

611 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/05(金) 04:34:48 ID:xfptnP3/0
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いいか、ここじゃ何があっても振り向くなよ。何があってもだ。

その瞬間、親父が消えた。いや正確には周りの風景すべてが闇
と同化したと言うべきか。音や親父の声も聞こえない。俺はパ
ニックになりキョロキョロしたが、さっきのおやじの言葉を思
い出し、固まった。

ヒッヒッヒ・・・ヒッヒッヒ・・・

薄気味悪い声が聞こえる。と、背後から何かが近寄ってくる音
がした。

ザッ・・・ ザッ・・・ ザッ・・・ ザッ・・・ 

シャリシャリシャリ・・・

何か金属質のものを引きずりながら何かが近づいてくる。。。
親父もどこにいるのかわからない。すぐ後でハァハァと声がし、
そいつの息が首の後にかかる。俺の首を斬り落とす気か・・?
俺は恐怖で頭が真っ白になった。

振り向いてはいけない・・・振り向いては・・・

後にいるやつが刀(たぶん)を振りかぶろうとする気配がした。
瞬間、俺は耐え切れず後へジャンプした。途端に視界が戻り俺
は唖然とした。

613 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/05(金) 04:37:02 ID:xfptnP3/0
5/11
崖っぷちだ・・・

見るとギリギリ崖っぷちに立っていた。もしもさっき刀をかわ
す為に前へジャンプしてたら・・・俺は腰が抜けその場にしゃ
がみこんだ。親父も無事だったようで、すぐに俺の所へ駆けつ
けた。「あぶなかったな」と言い辺りに塩を撒き始めた。

親父の話では今のは亡霊ではなく物の怪なのだという。亡霊に
化けて人を脅かしたりイタズラをする。もっともこいつらは、
かなりタチが悪い部類らしいが・・・

俺達は少し休んで再び登り始めた。

しばらく進むと何かの鳴き声が聞こえた。聞き耳を立てると何
やら人間の赤ん坊の泣き声のようだ。

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bronco

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