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その瞬間、朝日が辺りを照らし始めた。断末魔のようなうねり
が周辺を包み、山頂には静寂さが戻った。俺は婆さんを抱き起
して呼びかけた。婆さん!婆さん!
婆さんはぐったりしていたが、一言だけ「すまなかったね・・・」
と言うと意識を失った。ほどなく村人達が駆け付けた。婆さん
はそのまま病院へ運ばれ集中治療室に入ったが、結局そのまま
亡くなった。
623 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/05(金) 04:55:13 ID:iqJ3K7rjO
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葬儀の日、婆さんには身寄りがいないので親父が喪主を務めた。
俺は棺の中にかりん糖をたくさん詰めてあげた。もしこのかり
ん糖がなかったら、俺と親父はどうなっていたか分からない。
ありがとう婆さん。そして助けられなくてゴメン。。。
俺はその後しばらく悲しさで呆けていたが、婆さんを守り切れ
なかった悔しさから単独で深夜の山頂踏破を数回行った。そん
な俺を見て親父が言った。
「いいか、自然ってのはな、人の味方にもなるし敵にもなる。そ
してちからってのはな、他人を守れて初めてちからなんだ。人が
自分のことを守るのは心が弱いからだ。悔しかったら強くなれ」
その言葉がその後の俺の人生の指標となった。俺は他人を守れる
強さを身につけようと心に誓った。
あっちで見ててくれよ、婆さん。