Categories: 洒落怖

老婆と娘

この怖い話は約 3 分で読めます。

おぬしは自分の意思でここへ来たと思っておるのじゃろう~が、それは大きな間違いじゃぁ~ひょっひょっひょっ
本来であればあの時、おぬしの魂をこちらへ引き込めたものを・・・口惜しやぁ~・・・!

ようやく理解した・・・
この鬼婆は俺の魂が欲しいんだ・・・逃げなければ・・・しかし体が動かない・・・と、その刹那

935 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/10(火) 00:30:40.15 ID:Ruo2XUQR0
9/11

チャチャチャチャ~~チャ~ラ~チャッチャチャ~♪

突然、胸ポケットから携帯メールの着信音が聞こえた

自分はビクッとして目がパチリと開くと、驚きでそのまま左横へと転げ落ちた

ガクガクしながら視線を上げると、目の前に黒い格好をした小さな人のようなものが背を向けて止まっている・・・
そいつの前にも、その前にも同じような格好をした人達が行列になっていて微動だにしていない・・・
自分は自分が入れられていたものへ視線を移すと、それが籠であることが理解できた

(こ・・・この行列は籠に、俺を乗せて行進していたのか・・・いったい何故・・・)

見るとここは丘にある神社に続く石の階段のようである・・・
頭上には頂上まで続くであろうと思われる無数の真っ赤な鳥居が並んでいる・・・
黒装束の一行は動く気配が無く、手に持つ提灯の灯りだけがゆらゆらと揺れていた・・・
そして、彼らの腰から垂れている白い布は・・・布ではなく尻尾だと判った・・・どの黒装束にも尻尾があった・・・

自分は直感で今動いてはいけないと感じ、震えながら頭をかかえて一行と視線を合わせないように目を閉じていた・・・
これは・・・以前田舎の婆ちゃんから聞いたことがある、狐の嫁入りだ・・・目を合わせたら連れていかれてしまう・・・
しばらくして、一行はゆっくりと頂上に向かって登り始めた・・・早く・・・早く通り過ぎてくれ・・・震えながら祈った・・・

どれくらい時が経ったのか・・・

ふと、感じたことのある気配に気づき、少しだけ目を開けて自分の左横の地面を見た・・・

そこには白無垢の着物と真っ赤な草履を履いた女性と思しき人が立ち止まっていた・・・
それは紛れも無く花嫁衣裳であり、立っている人は・・・間違いなく・・・葉子さんであることが感じられた・・・
足元しか見えないが、はっきりとそう理解できたのである・・・
同時に自分は葉子さんが・・・人外の者である、ということも理解してしまった・・・

936 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/10(火) 00:31:27.68 ID:Ruo2XUQR0
10/11

葉子さん・・・
自分は泣きながら迷っていた・・・

(俺はこのまま顔を上げて・・・この人と一緒に行ったほうが良いのか・・・)
たった数日のことだが、本当に愛おしい存在となってしまった彼女と苦しいこの世を逃れ、あちらの世界へ行こうか・・・
嗚咽と震えの中で顔を上げようとした時、先程のメールの着信メロディーが一瞬、耳をよぎった

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