この怖い話は約 3 分で読めます。
途中、これは夢なのでは・・・と思う刹那、彼女の甘い吐息がそれを打ち消す・・・愛しい、その想いしかなかった・・・
933 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/10(火) 00:29:25.40 ID:Ruo2XUQR0
7/11
シャン
何かの音で目が覚めた・・・
ひどい目眩がする・・・おかしい・・・酒を飲みすぎたかな・・・?
天井が揺れている・・・ひどい目眩だ・・・頭がゆらゆらする・・・
しばらくボーッとしていると、揺れているのは自分ではなく周りだということに気がついた・・・
ここは・・・どこだ・・・?
それはひどく狭い空間に入れられているようだった・・・自分の足が折りたたまれ、入っている・・・窮屈だ・・・
そして一定間隔の時間で上下に揺れている・・・時折、横から淡い光が差し込むことに気がついた俺は、混沌とした感覚の中で視線をそちらに送った・・・
一瞬、黒い格好をした人影が見えた・・・手には提灯を持っているようだ・・・
見えるのは一瞬だった・・・そしてまた少ししてから見える・・・腰に白い布を垂らしている・・・
何だろう・・・俺はどこにいるんだ・・・? 外に誰がいるんだろう・・・? あれ・・そういえば葉子さんは・・・?
シャン
どれほどの時間が経ったのかわからない
これが夢なのか現実なのかさえ不明だ・・・理解する手段すらない感じがした・・・このまま永遠にこの状態が続くのかとさえ思えた・・・そして再び意識が朦朧としてきたのが分かり、そのまま眠りに落ちた・・・
934 本当にあった怖い名無し sage 2012/04/10(火) 00:30:01.97 ID:Ruo2XUQR0
8/11
暗闇の中に誰かがいる・・・
あれは・・・そう、あれは宿を教えてくれた老婆だ・・・間違いない・・・
次第に老婆が近づいてくる・・・なんだ? 自分に何か用なのか・・・?
老婆はそのまま目の前まで来るとピタリと止まり、今までずっとうつむいて見えなかった顔をぐるんを上に向けてこちらを見ると・・・ニヤリと笑った・・・その形相はまるで人間のそれとは明らかに違っていた・・・
そして自分は・・・その顔を知っていた・・・
よぉ~やくぅ~・・・また会えたな・・・! 待ち遠しいかったぞぇ・・・ひゃっひゃっひゃっ
老婆の顔はみるみる鬼の様な形相に変わっていった・・・
自分はこの老婆を知っている・・・数年前、俺は夢の中でこの老婆に殺されそうになったのだ・・・
あの時は五月人形のおかげで運良く命が助かった・・・その時の老婆と今、夢の中で再会してしまった・・・
混沌とした意識の中で、逃げなければ・・・と思うのだが体が動かない・・・夢だと判っているのに身動きが取れない・・・
あの時と同じだ・・・
ようやくワシの娘が年頃になったんでな、おまえを迎えに来たんじゃ・・・!
老婆は顔中の皺を飴細工のようにぐるぐると動かしながら、勝ち誇った顔で嬉しそうにそう喋り続けた・・・
思い返せばあの夢の中で、この老婆は乳母車を押していたような気がする・・・