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そしてふと、思いついた疑問を口にする。
『あれ、でもその話だと幽霊や死んだ人が見えるって霊能力者はみんな嘘つきにならね?』
『見える人はいると思うよ。迎えが来なかった霊はまだこの世界にいる訳だし。
地獄っぽい所に行った奴も向こうの「現実」でこちらに干渉できるようになったのかもしれないし。』
『お前は見えないの?例えば父ちゃんや母ちゃん。』
『見たい物が見える奴程、俺はすごくないらしい。それにどれだけの世界があると思う?
天国の人を呼ぶのは本当にすごいと思うよ。この数ある世界の中からピンポイントでその世界を見つけ出し
向こうの現実の中から目的の人物をたった一人だけ、毎回探し当てる事が出来るなんてね。』
皮肉めいた言葉と笑い方で弟がテレビで世間を賑わす彼等にどんな感情を抱いてるのか分かった。
『でも向こうからならこちらの世界が見えてるっぽいから彼等が本物だとしたら本当に呼べるのかもな。』
『お前が言う、その天国からはこちらが見えてるのか?』
『そうとしか考えられないってだけ。そうじゃなければ向かえになんて来れないだろ?』
それもそうだ。単純な俺はマジックミラーを想像した。
557 :違う世界 5/5 ◆lEMchm76dQ @\(^o^)/:2014/06/29(日) 19:27:49.23 ID:wKuXwA/b0.net
『兄貴も親や先祖が見捨てるような真似だけはするなよ?見捨てられた死者は本当に酷い事になる。』
急に不安になってきた。
もし、凶悪犯罪者でどうしようもない人間が死んだ時、その親や先祖はその人間を救おうとするのだろうか?
犯罪者であろうが子供可愛さに道を開けようとする親がいたとして、
天国という現実にいる、平和を謳歌しているであろう住人達はそれを許すのか?
犯罪だけじゃない。人によって許せない行為というものがあるだろう。
そういった基準が道を開ける者の感情に委ねられるのならば天国という「楽園」は存在しない事になる。
善行や悪行の加点方式や引き算ならあるいは…
『まぁ俺の予想も大分入ってるから確実な事は言えないんだけどね。それこそ死んでからのお楽しみだよ。』
『そんなどうでもいい胡散臭い小物より、俺が気にしてる事がある。』
『この世界も天国も地獄も全ての世界もそうだと思うけど常に見られてるんじゃないかって事。』
タバコを乱雑に消して弟は続ける。
『どの世界にも存在してるアレはきっと神と言われる物なんだと思う。』
『アレ?』
『時々思うんだ。俺達はなにかの実験なんじゃないかって。
俺が過去に見たどの世界でもあの位置は変わらない。形も変わらなければ変な所もない。この世界の物そのままだ。
俺はあそこでニヤついているであろう奴等がいる気がして、どうしてもそれが許せない。』
弟はそう言うといつ折ったのかわからない紙飛行機を窓に向かって飛ばした。
その先にはいつもより大きく見える少し欠けた月が輝いていた。