この怖い話は約 3 分で読めます。

「まあ、そうなんですが。そこは私もおかしいと思ってます。調べる必要がありそうですね」
「この土地の持ち主はわかりますか?」ウエノさんがアキバに聞く。
「調べれば分かるとは思いますが」
「至急調べて、地主を見つけてください」
「分かりました。で、不躾ですが、対処はできますでしょうか?」
「まずは、ここの因果関係が分からないと何とも言えませんね。それを知るためにも地主さんに話が聞きたいのです」

職業柄、土地の所有者を探すのは不動産屋にとってはお手の物。その日のうちに地主を割り出したが、その地主、今は隣県に住んでいるという。

さっそくアポをとってみたところ、日曜日なら会えそうだとのこと。
早速日曜日に地主宅を伺った。
地主は還暦を過ぎたばかりの男性であった。(地主をカンダ氏とします)
もっとも、俺は仕事のため行けず、ウエノさんとアキバの2人で行った。
後から聞いたことはこんなことだった。

859 添い寝 sage New! 2007/03/29(木) 15:34:42 ID:RJO9BJ3Y0
簡単な挨拶の後、ウエノさんが用件を切り出す。
「新Q地区にカンダさんが所有している土地についてのことなんですが」
「はあ」
「それで、あの土地についてご存知のことを教えて欲しいのです」
「いや、私はただ土地を持っているだけですが」
最初、カンダ氏は不信感、敵対心がありありだったという。もっとも、見ず知らずの人間が尋ねてきて、いきなり土地のことを聞けば無理はないのかもしれない。

さらに少しやりとりがあったあと、ウエノさんが努めて穏やかに言った。
「私どもは、カンダさんに金銭的なことを含めて何か要求したり、責任を追及する気はありません。
ただ、俄かには信じられないかもしれませんが、あの土地が原因で人の命が奪われている可能性があります。ですから、何でもいいので昔からの謂れを知っていたら教えて欲しいのです。決して、それを悪用したり、むやみに人に漏らしたりはしないとお約束しますので。どうかお願いします」

そのとき、ひとりの老婆が部屋に入ってきた。カンダ氏のお袋さんである。80を優に超えてはいるがしっかりした人である。

「その子(カンダ氏のこと)はあまり知らないから、私がお話しましょう」
「是非お願いします」
「あそこは忌み地なんですよ」カンダ婆さんはそう話し始めた。まとめると、次のようなことである。

いつの時代かははっきりしないが、かなりの昔からその土地に「不幸な出来事」に関連するもの、「穢れた」ものなどを捨てる(埋める?)ようになった。
それは物質的なものだけではなく、気持ち的なもの、所謂「怨念」や「憎悪」などを代々捨ててきたという。
ただし、カンダ婆さんがカンダ家に嫁にくる頃には、その風習はほとんど廃れており、実際にどのようにやっていたかは分からない。しかし、舅や旦那(亡くなっている)から概要を聞かされており、そこには無闇に入ってはならないこと、また子供を近づけてはならないなどと注意を受
けていた。

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bronco

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