この怖い話は約 3 分で読めます。

そうして、土地はそのままにされたのだが、曰くつきの土地であり、いつの頃からか穢れた物や忌みごとを捨てる地となった。
シブヤ氏が子供の頃は“ごっち”という人もいたが、シブヤ氏がそのように言うと、罰が当たると親に怒られた。ある程度の年齢になったとき、“ごうち”とは子供のことを意味すると教えられた。
“ごうち”を丁重に管理しなければならないことは、集落の各家に伝えられているはずだが、その謂れは、親の判断によって伝えられたり伝えられなかったりしているようだ。

話したがりとそうでない人がいるように、親がそうでないときは、詳しい話は伝えられない。初めのうちは、祟りなどを恐れて詳細に語り継がれていたのだろうが、それにも限度がある。
だから、土地の持ち主であるカンダ婆さんもこのことを知らなくても不思議ではない。

「俺らも、あそこで死人が立て続けにでているので、たぶん“ごうち”に関係があるのだろうと気を揉んでいた。俺らはもう歳だからいいとしても、そのうち子供や孫に害が及ぶんじゃないかと。自分勝手な考えだが」

864 添い寝 sage New! 2007/03/29(木) 15:41:40 ID:RJO9BJ3Y0
「ありがとうございました」とオオサキ氏が礼を言って、再び話しだす。
「いろいろな地方で、例えば道祖神などにそういったことを肩代わりしてもらうといったことがありますが、これもそのひとつの形態といっていいでしょう。ただ、この“ごうち”の場合は成り立ちが極めて特殊ですが。
 それで、そうしたことをするためには、何か“代”が必要になるわけですが、土地自体が強力な“代”となりえます。

 しかし、昔あの辺りに住んでいた人々は、それをさらに強力なものにしようとしました。と言うより、強力なものにしてしまったといったほうが正確かもしれません」

彼は、ここで1枚の地図を取り出した。アキバが調べた「ごうち」とその周辺の昔の地図である。

「これを見てください。これが“ごうち”本来の形です」

地図には赤鉛筆で線が引かれていた。

865 添い寝 sage New! 2007/03/29(木) 15:42:26 ID:RJO9BJ3Y0
「以前にあった雑木林との境、水路との境、隣地との境界を線引きすると、この通り、人の形になります。

しかも頭の大きな幼児の形です。恐らくこれは偶然ではなくて、当時の人が意識的に形を作ったのでしょう。
 祠など、目に見えるものを残すのは嫌だが、それでも罪悪感は残る。それで、せめてもの標しに土地を子供の形に模った。
 その後、この地が忌み的な場所となってしまったので、災いが起こらないように-或いはすでに何らかの災いが起こり-能力のある人物の助言を得て土地を改造し、結界を張った。

 人型も人形がそうであるように“代”としては優秀なものです。つまり土地を人型に囲い、
その上で結界を張り、かなり強力な“代”としたのです。いや「なってしまった」と言うべきでしょうか。
 これならば、ここに捨てられた念や不幸は外に漏れる心配がない。
 ただし、人型は“代”としては優れている反面、ややもすれば閉じもめた念を増幅させて、それが一人歩きしかねないといった欠点もあります。いわば諸刃の剣といったところです。

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