この怖い話は約 3 分で読めます。

「ここ、結界が張られていますね。分かりますか?」
「ええ、分かります。でも複雑な形に張られているようですね」
「どういうことでしょう?」と俺はふたりに聞いた。
「いえ、今ははっきりと答えられません。社長が昔のここ周辺の状態を調べていただければ、分かってくると思いますので少しお待ちください」
とオオサキ氏は答えた。「それでは社長、分かりましたら至急連絡をいただけませんか。夜中でもかまいませんので」

翌日、アキバはオオサキ氏に依頼されたことを早速調べ上げ、彼に連絡した。
そして、資料をファックスで送って欲しいというので送った。
結論が出ましたら、こちらから連絡いたします、とのことで、実際に連絡が来たのは5日後であった。

その間、オオサキ氏は彼なりに郷土史を調べたり、カンダ婆さんに会いに行ったり、新Q地区に古くから住む人に話を聞いたりしていたという。
その間、幸運にも例の区画から死者は出なかった。

862 添い寝 sage New! 2007/03/29(木) 15:38:37 ID:RJO9BJ3Y0
その日の夕刻、オオサキ氏、ウエノさん、アキバ、俺、なぜかオオツカ氏、そしてシブヤさんという70歳くらいの男性がアキバの事務所に集まった。
このシブヤさん、オオサキ氏が連れてきたのだが、新Q地区の古くからの住人である。

オオサキ氏が語りだす。
「まず“ごうち”とはどんな意味であるか、どんな字を書くかですが、一般的に“ごうち”と読ませるのは“郷地”或いは状況を鑑みて“業地”などが思い浮かびます。

 時間がなかったので詳しく調べたとは言えませんが、私の推測では“児地”だろうと思います。
読んでその通り小さな子供を意味します。
 これが訛って“ごうち”となったのでしょう。或いは…可能性としては高いのですが、わざと訛らせたのかも知れません」

オオサキ氏はシブヤ氏に「それではお話していただけませんか」と促した。

「みなさんは知っていらっしゃるようだが、あの土地には忌みごとを捨ててきた、で、何でそうなったのかと言えば、これは言い伝えだから本当かどうかは分からんが“村八分”ってのを
知ってるでしょう?」

863 添い寝 sage New! 2007/03/29(木) 15:40:20 ID:RJO9BJ3Y0
シブヤ氏の話をまとめると、少なくとも明治より昔、あの地区で村八分を受けた家があった。
その折は天災続きで、村八分を受けた家はとても生きていけなくなった。そこで村人に許しを請うのだが、村八分というの
はされた側に問題がある。それなら、心を入れ替えた誠意を見せろ、ということになった。

そこで、村八分の家では子供をひとり人柱に建てることにした。それがどちら側の提案であるかは今となっては分からないが、一番小さい子供に白羽の矢が立った。
名主であったカンダ家が土地を提供し、人柱は建てられた。
そのおかげかどうかは分からないが、天災は収束し、その家も村八分を解かれた。
しかし、人柱を建てたその土地は農地やその他実用なことには使えない。
祠を建てて、子供を慰めようかという案もあったが、それでは人柱が記憶に残り、子供を生贄にした罪悪感が引き継がれる。

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