この怖い話は約 3 分で読めます。
俺は古いアドレス帳を調べて青山に連絡を付けてから、その次の休日に相手の女の子を連れて青山の実家の産婦人科へ向かった。
しかしなんとなく年下の女の子を連れて産婦人科の扉をくぐるのを他人に見られたく無かった俺は、近くまで来た所で、青山に電話をして居住部分から、中に入れてもらうことにした。
青山の家に着いた、中学の頃来た時には感じなかったが酷く陰気な雰囲気を醸し出していた。これから自分の子供を殺すというおれ自身の気持ちがそう感じさせたのかも知れないが。
青山に招き入れられ家に入ると、玄関から廊下に無数のこけしが見えた。
俺が、「このこけし・・・」と思わずつぶやくと、青山は「ああ!繁盛してるお陰でこんなに増えちゃったよ。どこの部屋にも入りきらずにこの有様さ、そろそろ部屋を増築しないとなー。」
連れの女の子は夥しい数のこけしと、青山に怯えていたが何とか宥めてそのまま処置してもらった。
ちなみに、青山の病院で処置してもらったあと、この女の子とは会ってない。
更に数年後、中学の同窓会が地元で開かれることになった、俺は行く気がなかったが口の軽い青山がもしかしたら子供を堕胎したことをぺらぺら喋るかもしれないと思い
口止めする意味で参加することにした。
しかし、同窓会に青山参加していなかった、まだ地元に残ってる奴に聞くと一昨年交通事故にあって大怪我をしてから会ってないという事だった、そしてどうやら産婦人科も閉じたらしい。
551 3/3 sage 2012/08/15(水) 23:41:06.79 ID:AJ106kq50
翌日も休暇だったので、同窓会の後一晩ビジネスホテルに泊まって翌日青山の家をたずねることにした。
事故にあったという青山は、意外にも以前と変わらぬ調子で俺を迎えてくれた、ついでに家中に溢れてるこけしも相変わらずだった。
ただ一点、青山の両腕が失われているところだけが違っていた、やはり両腕は事故で失ったらしい。
現在はヘルパーと母親に身の回りの面倒を見てもらって生活してるらしい。
両腕を失った姿がまるでこけしみたいだったので俺が青山にそう告げると、青山は少し笑って語りだした。
青山「いつか、こけしって言うのは間引きされた子供の慰霊のために造られたっていう話しただろ?あれって本当はちがくてさ、口減らしで子供を何人も殺してきた産婆が
罪の意識で自分の両腕を切り落とした姿がモデルらしいぜ、両腕が無くなればもう子供を殺さなくてもすむってな。
だからお前の言うとおり俺はまさにこけし人間なのさ、俺もこの状態じゃ腹の中の子供を処置できないからね。」
俺「うーん、でもこけしが、子供を消す「子消し」だっていう説自体が、「こけし」っていう名前が定着しだした昭和の中ごろ以降にから出てきた都市伝説みたいなもんだぜ?
お前の言う説はどっちもガセだよ、ガセ。」