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まとわりつく女

この怖い話は約 3 分で読めます。

気にしないようにしたとは言え、やはり恐怖は消えず、念の為、部屋の四隅に盛り塩をし、ずっと警戒していた。
だけど、何事も無く、3日が過ぎ、あの出来事は夢だったのでは?と思い始めた頃だった。
まだ彼女と仲直りも出来ず、実家でネットに勤しんでいる時だった。
YouTubeを見ているとPCの音声混じって、あの時の話し声が聞こえた気がした。
俺は「嫌々それはない」とか思いながらも、手は脂汗でびっしょりで、後ろを振り向けないでいた、基本的なチキンだ。
だけど、いつまでもこの状況は無理だし、俺は覚悟を決めて振り返った。
俺のすぐ背後であの女が体をくねらせながら奇声を発していた。

またも俺は漏らしながら絶叫した。
部屋を飛び出し、リビングにいた兄へ泣きついた。
一応家族に事情は説明していた、誰も信じなかったけどさ。
だが流石に家族も絶叫しながらを泣きついてくる俺を普通ではないと思ったからか、真剣に心配し、お守りをくれたり、兄が何処から仕入れたか分からないお札をくれたりしたがまるで効き目は無かった。

403 本当にあった怖い名無し 2012/08/13(月) 18:22:48.55 ID:E3O1NCwF0
女は毎晩のように話し声と共に俺の前に現れた。
何度絶叫しながら気絶し、何度漏らしたかも分からない。
いつも泣きついている兄の部屋で寝たりもしたが女は関係無く現れ、俺にははっきりと見えているのに兄には見えていないようだった。

夜も殆ど眠れなかった、目を閉じると、あの女が上から覗き込んでる光景を想像し、目を閉じる事も出来なった。
毎日こんな感じで心身共に限界に近い俺は藁にも縋るつもりで、あらゆる神社仏閣に行き、話しを聞いてもらい、お祓いをしてもらったが全く効果は無かった。

大抵は「気の持ちようですよ」と要するに勘違いと言われ、最後は俺が見てもらう時にかまをかけたりしたが検討違いの事を言われ、俺は神社仏閣でのお祓いという選択を諦めた。

色々考えたりもし、やっぱり幻覚か?とも思った。
誰にも見えないなんておかしい、とも考えた、前述に述べたとおり俺は精神的に弱い、幻覚は今まで無かったが、幻聴の延長線と思えば一応納得出来るかもしれない、だけど、そうは思えない程に現実感があった。
どう考えても、俺なんかじゃ答えは出せないし、答えが出せても俺じゃあどうしようもない。

途方に暮れ、いよいよ頭がおかしくなりそうな中、一つの希望が出来た、友人の知り合いに過去にそういった怪異をどうにか出来たという人物がいた。
正直、希望と言うには大袈裟だが、今の状況からするとかなりの救いになった。
その人物は今はこっちにいないらしく、2日後に来てもらえる事になった。

その晩、多少だが希望が持て、縋る物が出来た事と、怖さを紛らわす為に全く飲めない酒を目一杯浴びるように飲んだ。
普段は焼酎ー杯でベロベロ近くなる俺がその日は一人で一升近くを飲み、フラフラになってる時でも、当たり前の様に女は現れた。
もうどうでもよくなったかとか、その時の精神状態は自分でもわからないが、狂ったように、部屋に一人でずっと「早く殺せよ」と怒鳴り散らしていたらしい(あまり記憶がない)

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bronco

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