Categories: 洒落怖

和菓子屋の取材

この怖い話は約 3 分で読めます。

「ああ、これ、○○さんとこか!で、あんた、この写真どうしたの?」
「あ、私Aという雑誌の編集者なんですよ。
 それで、そのお店の取材に行こうと思いまして。
 写真はそのお店の方が送って来てくれたんですが」
「んん?そんなわけ無いよ。この店、10年くらい前に火事おこして焼けちゃったから」

410 和菓子屋の取材5/7 sage 2006/06/21(水) 10:15:12 ID:6+qgGGy70
「え!?…お店の方は?」
「みんなそれで焼け死んじゃったと思うけどなあ」
「…それで今はその場所、どうなってるんですか」
「そのあと新しく家は建って誰かしら引っ越して来たんだけど…
 いや、まあ、その家族なんだかで長くしないうち引っ越しちまったから、
 いまは空き家だよ。しかしタチの悪いイタズラだなあ」
空き家…先程の家かもしれませんが、視線を感じたこともあり、確認するのが恐かったので、おじいさんにお礼を言い、そのまま編集部に帰りました。

帰って来ていた編集長に事の経緯を話し、例の封筒を見せようとカバンの中をあさりましたが、なぜか無いんです。
どこかに落としたのかもしれません。車の中か?と戻ろうとすると、「多分無いと思うよ、それ」と編集長に引き止められました。

411 和菓子屋の取材6/7 sage 2006/06/21(水) 10:15:58 ID:6+qgGGy70
「5、6年前かな。俺が新人の頃さ、同じようなことがあったんだよな。
 そこに行ったのは俺じゃなくて先輩だったんだけど」
「あ、そうなんですか。行ったのはどなたですか?」
「いや、もういない。取材に行ったきり帰ってこなかったんだよ。
 ××町の和菓子屋さん行くわってふらっと出掛けたっきり。

 当時はけっこう大騒ぎになったんだよね。車ごと消えたから。
 先輩も車も、結局見つからなくてさ。
 で、俺は先輩が行く前にその封筒も中身も見たんだけど、
 お前が言ってたのとだいたい同じ感じだったかな。
 先輩のは確か「きてください」としか書いてなかったんだけどね。
 もちろん、いたずらかもしれないけどさ。気味が悪いよなあ。」

412 和菓子屋の取材7/7 sage 2006/06/21(水) 10:16:45 ID:6+qgGGy70
…その後、車の中を探しましたがあの封筒は見つからず…。
誰があの封筒を送って来たのか、なぜその先輩が消えたのか、私が呼ばれたのはなぜなのか…結局わからないままです。
それから3年たちましたが、郵便が届くたびにあの封筒が来ないか、ビクビクしています。

Page: 1 2

bronco

Share
Published by
bronco

Recent Posts

迷い

霊とかとは全然関係ない話なんだ…

4年 ago

血雪

全国的にずいぶん雪がふったね。…

4年 ago

母親の影

私が小6の時の夏休み、薄暗い明…

4年 ago

閉じ込められる

彼はエレベーターの管理、修理を…

4年 ago

彼女からの電話

もう4年くらい経つのかな・・・…

4年 ago

テープレコーダー

ある男が一人で登山に出かけたま…

4年 ago