Categories: 洒落怖

見張り

この怖い話は約 3 分で読めます。

825 見張り1/6 sage 2008/01/06(日) 11:42:11 ID:qWo5uXEN0
何の脈絡も無いけど、俺も怖い思いをした事がある。

20年ほど前、T県にある国立大に通っていた友達のアパートへ
3人で引っ越しの手伝いに行った。U駅周辺やキャンパスの周辺は
そこそこ明るい感じだったが、そいつのアパートはK川を越えた
雑木林に有り、車のなかった俺達はバスで近くまで行き、そこから
歩いて20分も掛ったひどく寂しい場所だったんだ。

引越し屋の業者も帰り、4人で麻雀などをやりつつ酒を飲んだ。
当時タバコを吸っていたのは俺だけで、夜中になった頃タバコが
切れてしまった。
酒とジュース、つまみは豊富に有ったんだけど、タバコだけは無い。
自販機はないのか?と聞くと、例のバス停まで行かないと無いと言う。

外は真っ暗だった。文字通り足元も見えにくい程の闇。
(マジかよ~、嫌な感じだなァ)
時折有る街灯の周辺だけが微かに明るいだけの山道をトボトボと
歩いていると、公衆電話のボックスに出くわしたんだが、これが
何かおかしい。
普通なら明かりが点いているはずなのに、消えている。
(壊れてるのか?これ?)
立ち止まってボックスを除くと、電話機には電気が来ているらしく
赤い表示は点いている。

通り過ぎようとしたら、公衆電話の隣に立ってるゴルフ場のデカイ
看板の後ろに男が立ってジッとこっちを見ていた。

826 見張り2/6 sage 2008/01/06(日) 11:42:54 ID:qWo5uXEN0
思わず(うぉっ)って小さく声を上げてしまったんだが
愛想笑いをしつつ軽く会釈をして俺は通り過ぎた。

(こんな真夜中に、あのオヤジ、何やってるんだろう?
気持ち悪いなぁ)

と思いつつ歩いて行くと、森の中に分かれ道が有って
『○〇の里』とか『○○の家』だかもう
思い出せないけど、白い看板が立っていて、来る時は全く気付
かなかったバリケードが置いて有った。道の奥は森の中に
消えていて先は全く見えなかった。別荘でもあるんだろうな。

やっとバス停まで出ると、田舎のバス停に良く有る雨除けの
しょぼい屋根の下に中年の女が立っていた。

(もう、バスなんか来ねえだろ?何で居るんだろ?)

中年の女は俺がタバコを買うのをジッと見ていた。

戻って来ると例の別荘らしき白い看板の前に車が1台停まっていた。
軽トラって言うのか、小さい荷台がある、よく田舎なんかの農家の
人が乗っている様なアレ。
どう見ても3人がやっと乗れる様な車なんだけど、4,5人位の
男と2人程の女が周りに居る。
真夜中だろ。それにこんな真っ暗な中でお互いに人が出会ったら
黙って通り過ぎるのも何だから、と思った俺は
『何かあったんスか?』と声を掛けずにいられなかったんだ。

827 見張り3/6 sage 2008/01/06(日) 11:43:32 ID:qWo5uXEN0
すると若い女が「道に迷ったみたいで」と言った。
「助けてくれます?こちらに住んでるんでしょ?」
となれなれしく笑って言った。
『俺、地元の人間じゃないんで分からないけど、バス停の有る国道
ならあっちの方ですよ』と言うと、もう一人の若い女が
「じゃあ、そこまで一緒に車で」と言う。

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