Categories: 洒落怖

見張り

この怖い話は約 2 分で読めます。

その頃は、マルチ商法とかの名前は無かったが、卒業生などの名簿
を頼りに何かを売りつけて会員とかにする、ネズミ講と呼ばれる
商売は確かに有って、そういった奴は皆から絶交されていた。

830 見張り6/6 sage 2008/01/06(日) 11:47:22 ID:qWo5uXEN0
『あいつ等ネズミ講だよ。あの別荘がアジトなんでしょ?』
俺達がそう尋ねると、大家さんは言った。
「あの別荘はもう無いよ。解体されて今は更地だよ」

実は、このアパートには学生だけが住んでいたのだが、例の
おかしな学生の仲間の生徒が段々増えてしまい、不動産屋に
頼んで連中には引っ越しを頼んでいる。最後の住人が出て行ったら
ここは閉鎖する予定なのだそうだ。
連中が仲間を呼び込んでは困るので、毎晩定期的に見張りに来ている。
それで、引っ越しのトラックを見掛けたので、様子を見てたら
何か様子が違うので心配になって来たのだという。

大家さんは怖い顔で友達に言った。
「ここのアパートは、誰に紹介されたの?」
『そうだよ、お前。ここはやべえぞ』と俺が言うと
友達はいきなり大声で言った。

「ち が う ん だ よ。 お れ た ち は !」

唖然とする俺達に、そいつは口から泡を飛ばしながら叫び続けた
のを今でも覚えている。狂人ってのは多分ああいうのを言うんだろう。

「金儲け、金儲けとか言うなぁぁ!俺達はそういうのじゃないぃぃ!」

半狂乱のそいつを残して、俺達3人は大家さんの車で駅まで行って
ホテルに泊まり、翌朝帰った。そいつとはそれ以来二度と会ってない。
当時は新興宗教とかカルトなんとかの話題も聞いた事はなかった。
例の某教団が流行る前の事だ。今から調べても某教団がT県のあの辺り
で活動していた記録はない。

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