Categories: 洒落怖

見張り

この怖い話は約 3 分で読めます。

よく見ると女の着てる黄色のジャージは、マダラになってて元は
白い物が汚れてしまった感じだし、車の中には赤ん坊が居る様だった。
車の中には生ゴミの袋が有って、赤ん坊はその中で泣いていた。
酷い悪臭がした。

(冗談じゃねえよ、こんな気持ちの悪い奴らの車なんて)

『ここからなら真っ直ぐだし、ちょっと帰る家も遠いので・・』
と何とか断ってその場を去ると、連中は「じゃあ、また」と言った。

例の電話ボックスまで来ると、さっきの男が今度は電話ボックスの
中に立っていて、電話もしないくせにジッと俺を見ていた。

アパートに帰った俺は、さっきの事を皆に話した。
「なんだ?そりゃ」とか「よっしゃ、見に行ってみるか?」とか
チョッと盛り上がって、ほんの30分もたたなかった時だった。

玄関のブザーが鳴った。

828 見張り4/6 sage 2008/01/06(日) 11:44:11 ID:qWo5uXEN0
玄関で友達が受け答えしている。
「はあ、U大生です・・」「ええ?そう、友達と一緒ですけど・・」
とかボソボソ聞こえてきて

「そう、今日引っ越してきて・・」「え?もう貸してない?」
とか言ってる。

『何だ、何だ。どうした?』俺達3人も玄関へ行ってみた。

よく田舎に居そうな、帽子を被った年配の見るからに農家の人
みたいなオジサンが玄関で友達と話している。
外には、電話ボックスの男と、バス停の中年の女も居たのでびっくり。

農家の人みたいなオジサンは、このアパートの大家だと自己紹介
し、外に居る男と女は息子さんとその嫁さんだと説明した。
オジサンが「さっき、タバコ買いに行った人居なかった?」
と言うので友達が俺を見る。

(ははぁ、未成年者のタバコと思ったんだな。それでワザワザ文句
言いに夜中に来たのか。まったく田舎はうるせえ奴が居るんだな)

単純にそう思った俺は、運転免許を出して説明してやろうとすると
中年の女がヒョイッと顔を出して
「そうそう。このお兄さんよ。大丈夫だった?」と言い
電話ボックスの男が「別荘の処に変な人が居たろ?」と言った。

829 見張り5/6 sage 2008/01/06(日) 11:44:48 ID:qWo5uXEN0
イチャモンどころか何か心配してくれてる様な雰囲気に
拍子抜けした俺達に大家のオジサンが話してくれたのは
だいたい以下の様なことだった。

以下は大家さんの話。

“このアパートは五年前くらいに建てて、U大生をメインに貸して
いた。ある時住人の学生が一人、頭が変になってアパート中の
人に夜中だろうとお構いなしに訪ねて行っては、話を聞いてくれ
と言う様になった。当然住人からはクレームが出た。
そいつは卒業してアパートからは出て行ったんだが、就職せず
親元へも帰らずU市付近に住んでしまった”

その学生には得体の知れない仲間もいて、あちこちに現れては
迷惑を掛けている。その一つにU大の学生名簿を使った物が
あって一人暮らしの学生に話にやって来るのだという。
俺はピンときた。『それ、ネズミ講じゃねえの?』

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