Categories: 洒落怖

天職

この怖い話は約 3 分で読めます。

403 天職 その4 sage 2009/10/02(金) 17:21:06 ID:6o8g/lvm0
現場のなかのことだから、オレには責任はない。でも、気分が悪かったから2日ほど休ませて
もらって、現場も変えてもらった。次の現場は道路車線拡張工事だった。二人組みで無線使って
片側交互通行。通行量は少ないけど途切れない感じで結構忙しかったんだけど、
体を動かしてないと前の現場思い出すオレには忙し過ぎるくらいのほうが良かった。

ロードローラーって見たことあるよな?不整地を押し固めていく建設機械。手押しの小さいのから
見上げるくらいでかいのまでいろいろあるけど、その現場に来たのは小型ダンプくらいの
人が乗って動かすやつだった。作業終わって、いつもなら機械置き場にすぐ移動するんだけど、
その日は移動してる最中に止まってしまった。どうやら前方にちょっと大きめの石が落ちてて
どけないと進めないらしい。
オレは、どかしましょーかー?と叫んだんだが、運転手は危ないから自分がどけるよーと
叫び返してきた。運転手が運転台から降りてきたとき、ロードローラーは完全に止まっていた。
運転手が車の前にまわって石に手をかけた、そのとき。
ゆっくりと、ロードローラーが前に進み始めた。
オレはなにか叫んでたらしいがよく覚えていない。運転手は一瞬こっちを見た後、
背後のロードローラーを振り向き、そのまま車に押し潰された。

404 天職 その5 sage 2009/10/02(金) 17:21:27 ID:6o8g/lvm0
今度は一週間休ませてもらった。日給月給だから手取りが減るな、と思ってたが、出勤扱いに
してくれていた。また工事現場だったら辞めようかな、とも考えていたが、与えられた仕事は
郊外のショッピングセンターの駐車場警備だった。出入り口の誘導が仕事で、場内の車は事故が
あったりするとトラブルになるから、誘導してはいけないとのことだった。真夏の道路からの
照り返しはかなりきつかったが、建設機械を見なくて済むのは気が楽だった。

現場についてしばらくたち、仕事にも慣れた頃。
その現場は3名が配置されていて、ピークを過ぎたら交代で昼食を取ることになっていた。
大抵はショッピングセンター内の店で急いで済ませる。
駐車場を横切るとき、なにか違和感を覚えた。が、オレが食事を済ませないと待ってる二人は
食事に行けない。オレはその感じを振り払って食事に行った。
10分ほどで食事をかきこみ、その帰り。違和感の正体を見つけた。
手だ。駐車場の端に停まっている車の窓ガラスに小さな手が張り付いている。
車に駆け寄ってみると、やはり子供がぐったりとしていた。ドアは開かない。
カギが閉まっているのだ。窓を叩いても反応がない。
車のナンバーと車種を書きとめ、持ち主を呼び出した頃にはさらに20分ほど過ぎていた。

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