この怖い話は約 3 分で読めます。
そんなことを考えていると、ズララララというコンクリートに金属のスコップを
引きずった時のような大きな音が響き、ゆっくりと老人が立ちあがってこちらに振り返った。
手にはこれまでに見たことも無いような三又(?)のような漁師道具が握られており、
それを両手に構えようとしているところだった。
そんな物騒な物は、先ほど見たときには無かったのに…。
433 夜の堤防(3/3) sage 2009/09/09(水) 02:42:30 ID:roaYC44W0
『おあつらえ向きの者って俺かぁ!!!』とようやく事態の大変さに気が付き、
このままではあの世へ送られて海に捨てられてしまうかもしれないという恐怖が
俺の体の末端まで行き渡る。
ピリピリと痺れにも似た感覚が指先を刺激した。
その後、ゆっくりと俺の方に近付いてくる老人の表情は逆光になっていて、
全く窺い知ることが出来なかったが、釣り竿やクーラーボックスを手繰り寄せながら、
万が一の攻撃に備えることにした。
目を離すと槍投げのように突き刺されそうだし、防波堤の上には舫い綱を止めておく
アンカー・ボルトのような物や、ロープなどが所々点在しているため、
下手に後ずさるといつ海に落ちるかわからない。
悲鳴を上げたいのを我慢しながら老人の挙動を凝視し続け、
小さく畳んだ釣り竿とクーラーボックスで防御態勢に入る。
そして老人が手にした三又を振り上げた。
俺との距離は2~3m、表情は相変わらずよく見えないが、老人の周りだけ妙に暗いような、
目を凝らしてもよく見えないような雰囲気だ。
俺も防御するように両手を上げ、三又が振り下ろされた瞬間、後ろに跳び退いても
十分なスペースがあるかを確認するために一瞬振り返った。
その後すぐに目を戻すと、今まで目の前に居た老人は見えなくなっている。
死角に回り込まれたのかとゾッとしながら周囲を素早く確認したが、
やはり老人の姿はどこにも見当たらなかった。
三又のようなものはもちろん、あれだけハッキリ見えていたカップ酒やペットボトル、
そして老人が腰かけていたクーラーボックスまでが完全に消えていた。
拍子抜けしながらも慌てて荷物をまとめ、サッサとその場を後にした。
死ぬほど怖いというより、殺されるほど怖いと思った本当の話…。
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