Categories: 洒落怖

親子

この怖い話は約 3 分で読めます。

521 E島① sage New! 2009/09/02(水) 23:43:52 ID:jvXfgGTC0
俺は毎年7月の下旬頃、平日に有給休暇をとり湘南に海水浴に行っている。
それも一人で。
土日は人多いし彼女とか友達とかいっしょもいいけど一人のほうが一日砂浜に寝そべって
ビール飲んで日ごろの雑多なこと忘れることができる。
だから毎年自分の恒例行事にしている。

ビール飲むんで電車を使う。
E電を降りてE海岸に行くまでの一本道に多くの食堂やショップが並んでいる。
その中の一軒の食堂に俺は遅い朝飯をとるため入った。
平日とは言え学校は夏休みに入っているため結構込んでいた。

隣の席は母と娘の親子連れだった。
娘は小学校3~4年生くらいか・・・。
一人でメシ食っていると聞くつもりはないが嫌でも隣の席の親子の会話が耳に入ってくる。
「お母さん お父さんと離れてどれくらいたつ?」
娘の質問に母親は辛そうな声で答えた。
「・・・もう4年になるわね」
ああ父親は単身赴任なのか。それとも何らかの理由で別居とかしているのかな。
俺はどうでもいい想像をめぐらせ生シラス丼を食べていた。
「お父さん 淋しくないかな?ユカとお母さんとずっと離れ離れで淋しくないかな?」
ん?単身赴任じゃないな。単身だったら年に何回か帰省するだろうし
『ずっと』離れ離れってことはないもんな。

「お父さんは強い人だから大丈夫よ きっと元気よ」
『きっと』?・・・ああ離婚したんだな。それで母娘で海水浴か。なんだか淋しいよな。
そう思いながら俺は渋いお茶をすすった。
俺はレジをしようと立ち上がった時に聞こえたその母娘の会話に少なからずショックを受けた。
「お母さん お父さんは別の世界でもタバコやめてないのかな ユカはやめてっていつも言ってたのに!」
「どうかな でもお父さんそれくらいの楽しみもあってもいいんじゃない」
ああ、父親死んじゃってたんだ・・・。

522 E島② sage New! 2009/09/02(水) 23:54:17 ID:jvXfgGTC0
その後俺は海岸に行き海パンに着替えさっきコンビニで買い込んだ缶ビールをプシュって開けてしばらく海を眺めた。

「あー やっぱ海はいいいな~」
俺はさっきの母娘のことなんか当然忘れてつかの間のバカンスを満喫していた。

何時間かたったか・・・。ふと2~3メートル先の横を見るとさっきの母娘がビーチパラソルの下にいた。
よく見るとその横に中年の男がいた。
「二人で来てたんじゃないのか?・・・それとも母親の再婚相手かな・・・」
なんとなく興味が沸いてしばらく横目で見ていた。
母娘とその男の3人はどう見ても家族にしか見えなかった。
「ああ再婚したんだ・・・それとも愛人とか・・・」
仲が良い3人を見ながら俺は2本目の缶ビールを開けた。
「ん?それにしちゃ 何でさっきの食堂にこの男いなかたんだろ?・・・砂浜で合流したのかな?」
何か腑に落ちない感覚にとらわれた。

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