Categories: 洒落怖

呼び込み体質

この怖い話は約 3 分で読めます。

寝ていた布団にしがみついたら布団ごと引っ張られる。
目には何も見えない。
ただ、ものすごい声と音が響き、どんどんみんなと離れていく。
父や母を呼ぼうとしても声が出ない。
とうとう部屋の隅までいき壁にどんと押さえつけられた。
ぐいぐいと押し付けられているような格好だが、実際は壁側から引っ張られている。
そのうち壁の中に引きずり込まれるような気がして恐怖した。
めちゃくちゃに暴れながら、「助けて!助けて!」と叫び続けたが
声にならず、家族は爆睡していた。
「クソおかん!薄情者!アホ!ボケ!」と怒鳴った(つもり)とき、
唐突に母がむくっと起き上がり、「やかましいわ」と言った途端
引っ張っていた力が消え、何も聞こえなくなった。
母はすぐにまた横になり、そのまま寝てしまった。
俺の顔は涙と汗と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。

874 3/6 sage 2009/08/24(月) 13:53:02 ID:lmmszt+U0
すぐに電気をつけ、泣きながらみんなを起こした。
母はつい今自分が起きて「やかましい」と言ったことを覚えていなかった。
父も「寝ぼけたんとちゃうんか」と言ったが、
布団は壁際でぐちゃぐちゃになったままだったし、
絶対現実に起こったことなんだと主張した。
とりあえず寝ようということになり、俺が寝るまで父が起きていてくれると
約束し、母に布団を敷きなおしてもらって寝た。
その後は疲れていたこともあり、案外すんなりと寝れた。

朝になり、俺は前の晩の隣のおばさんの様子を思い出し、
何か見たに違いないし同じ声を聞いたのかもしれないと思った。
子どもの俺が支離滅裂に話したんじゃ失礼だろうということで、
母が話を聞きにいった。
俺の体験をおばさんに話したら、確かにその声はうめきながら
聞いたことのない言葉で何か言っていたということだった。
壁を隔てて聞こえるぐらいだから相当大きな声だったと思う、と・・・。
おじさんは、おばさんほどは聞こえなかったが、何か声がするとは思い、
思案の末、フロントに電話をかけて人を呼んだそうだ。
そして、母がドアを開けて外に出たとき、俺の後ろにきちんとスーツを着た
顔色の悪い男性が立っていて、すぅっと消えたのを見たらしい。

876 5/6 sage 2009/08/24(月) 13:55:12 ID:lmmszt+U0
それともうひとつ、例の旅館の人にも聞いてみたら、
浴場で倒れたおばあさんは、母と一緒にびしょぬれの女性が出てきたのを
見たということだった。
風呂場からびしょぬれの人が出てくるのは普通のことだが、
服を着たままだったのと、ぼやけて透けていたことから
明らかに「普通でない」雰囲気を感じ、驚いて気を失ってしまったのだ。
なかなか教えてくれなかったそうだが、俺が怖い思いをしたことや
隣の人の話を持ち出して半ば強引に聞き出したらしい。
それまでその旅館でそんなことは一度も起こったことがなく、
どういうことなのかは分からないということだった。

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