Categories: 洒落怖

ばあちゃん

この怖い話は約 3 分で読めます。

「もしかして、ばあちゃんか?」
「今学校に電話しようとしてたところだ。どうして解った?」
「学校に、ばあちゃんが来た」
親父は「そうか」と言ったきり、それ以上話さなかった。

75 本当にあった怖い名無し sage 2009/11/20(金) 00:42:00 ID:kKlMUnIN0

通夜と葬式は無事に終わったが、出棺のとき、霊柩車の最後の別れのクラクションが故障して、しばらく鳴り止まなかったのを覚えてる。
それからはいろいろと奇妙な事が立て続けに起こった。仏壇から手が出ているのが見えたり、微妙にばあちゃんの遺影の表情が変わったり。
それまでは不思議と嫌な感じはしなかった。だって、おいらのばあちゃんだもの。

そうこうしているうち、高校三年になって、おいらに彼女が出来た。
弱小部、部長の権限で一年生の後輩を運よく引っ掛けて…まあ自宅同士だったし、当然Hもない、今でいえば清い交際だ。
その頃、祖父母が亡くなって残ったのは全部女の三姉妹。既に全員が別の家に嫁いでいて、母方の実家が空く状況になり、結局、おいらの親父が嫁方の墓を守るという約束で、おいら家族は札幌の借家を引き払い、祖父母の家に代わって住むことになっていた。

…ゆえに、急においらの家は広くなり、文化系である我が部活は、合宿しようということになった。この家で。

ちょっとばかり隠しておいた酒も飲み、いざ就寝というときも、男部屋女部屋を区別するでもなく、一間のまま一階の広間に、有りったけの布団を敷いて雑魚寝をした。
部員同士、おいらと彼女が付き合っていたのは明白・公認だったので、当然彼女の場所はおいらの横。衆人監視の中、どうのこうのできる筈もなく、ぎりぎり隠れて手を繋ぐくらいで眠りについた…と思った。

その夜中、生まれて初めての金縛りにあった。意識ははっきりしている。横に彼女の頭が見える位置だった。

気配がした。誰か居る。見下ろしている。

82 本当にあった怖い名無し sage 2009/11/20(金) 08:33:08 ID:omUk7smE0

けど、その視線はおいらに向けられたものじゃなかった。
ばあちゃんだった。すぐ横に寝ている、彼女の上に座っていた。
そのままの実感のある、いつもの姿で彼女の上に正座している。ギーっと目を見開いて、彼女の顔を眼前まで覗き込んでいた。
彼女は寝息を立てている。気づいていなのか?重くないのか?
いや、ばあちゃん、そもそもなんで出てきたの?よりにもよって今夜に。それも彼女の上に座って、何してんの?

「!!!!!#$&%@#$!!!!!」
声にもならない呻きを振り絞った。多分何かの音になったと思う。
ばあちゃんは、目を見開いたまま、おいらの方に振り向いた。
正直、恐ろしかった。あんな顔と、目を見たことは今まで一度もなかった。
目をそらすことができない。ばあちゃんは目を見開いたまま、彼女とおいらを見比べてる。

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