Categories: 洒落怖

シャム双生児

この怖い話は約 3 分で読めます。

そうして、月日が流れました。

25歳になったピムは、きれいな大人に成長していました。
ただ、ひとつ、体に傷があります。 そうです。 腹部に切断手術の跡が、縦50cmほど残っていたのです。 プロイは、8年前に死亡していました。

ピムには、ジェイというハンサムな恋人がいました。
ジェイは、ピムとプロイが17歳の時に、入院していた病院で知り合ったので、ピムの過去も全て知っており、それを受け入れて、恋人として付き合っています。
新鋭の建築家で、今は、二人で、ロスに住んで、多くの友人と、楽しく生活をしていました。 そこへ電話があったのです。 「バンコクの母が危篤です。」

二人は、急いでバンコクへ戻ることにしました。
まず、急いで病院へ駆けつけると、眠っていた母が、急に驚き、ピムを見て、がたがた震え始めました。
まるでピムの後ろに何か、恐ろしいものがいるように・・・

病院を後にした二人が、昔住んでいた家に戻ると、そこは、10年前から、時間が止まっていました。 クローゼットには、ピムとプロイのお揃いの洋服、靴がならんでおり、二人が一緒に座れるように、特別に作った鏡台もそのままでした。
その鏡台の引き出しには、プロイが使っていた眼鏡も残っていました。

その夜からです。 不思議なことが起こり始めたのは。
明らかに、ピムは横に誰かがいるような気配を感じます。 
寝ていると、横で、寝息が聞こえる、ピムを見て、犬がけたたましく吠える、また、昔からいるメイドさんも、ピムの顔を見るなり、引きつったような顔になり、消えてしまうなどの、不思議なことが起こります。
ピムは、思い出していました。
あの約束を、「ずっと一緒だよ、死ぬまで一緒だよって。」

ジェイは心配して、ピムを精神科の医者につれてゆきました。 精神科の医者は、あなたが、見えるように錯覚しているのは、あなたの頭の中にあるイメージで、原因は、あなた自身の心の中にあるものと説明しました。
しかし、ジェイも見たのです。ピムが座るソファの横がへこんでいること、ピムがソファから立ち上がると、すぐ横のへこみも、元に戻ることを。

ジェイは、二人が結合双生児の頃に、病院で、ピムと出会っています。
絵が好きで、よく二人の絵を描いていました。 モデルは、ピムが右側、プロイが左側でしたが、全ての絵は、ピムだけを描いていました。
プロイは無視していたのです。
しかし、彼は、今見たソファのへこみは、確かに、ピムの右側にあったのでした。

ピムは、相変わらず、プロイの幻覚におびえていました。
寝ていると、横には、あきらかにプロイの雰囲気が感じられます。
それは、日に日に、強くなってゆきます。 
ピムは、半狂乱になり、クローゼットにあったお揃いの服・靴、写真など、
すべての結合双生児時代を思い出させるものを持ち出して、ジェイに頼みました。
「全部、焼き捨ててしまって、もうたくさんよ。」

Page: 1 2 3 4

bronco

Share
Published by
bronco

Recent Posts

迷い

霊とかとは全然関係ない話なんだ…

6年 ago

血雪

全国的にずいぶん雪がふったね。…

6年 ago

母親の影

私が小6の時の夏休み、薄暗い明…

6年 ago

閉じ込められる

彼はエレベーターの管理、修理を…

6年 ago

彼女からの電話

もう4年くらい経つのかな・・・…

6年 ago

テープレコーダー

ある男が一人で登山に出かけたま…

6年 ago