Categories: 洒落怖

この怖い話は約 2 分で読めます。

26 本当にあった怖い名無し 2010/08/11(水) 05:05:15 ID:6fsAVy8z0

怖い。
綿野さんが怖い。
綿野さんの目が怖い。
綿野さんの目の色が怖い。
自分と違うブラウンの目がギョロギョロと動く。

怖い。
視界が悪くなる。
こんなにはっきり色が変わる瞬間を体感するのは初めてだ。
黄色と緑は緑。
水色も紺色も存在しない。青
全体的にグレーになっていく。
視界が悪いのをこんなに恐れたのは初めてだった。

「今何色だ?」
唐突に綿野さんが質問する。
「何がですか?」冷や汗をバレまいと下向き加減でそれだけなんとか答える。

「俺の瞳」
僕は涙が出た。
綿野さんの大きい瞳が見開き、瞳孔の開いた目からじーーっと視られる。
ただじーっと。

少し間を置き僕が答える。
「ブラウンです。」
「アーーーーーーーーっはっはっはっはははははは。」
いつもの陽気な綿野さんに戻る。
しかしこれほど人の笑顔を怖く思った日はなかった。

27 本当にあった怖い名無し 2010/08/11(水) 05:07:50 ID:6fsAVy8z0

しばらくして聞いた。
「色を聞いた時、僕の視界が変わった事わかったんですか?」

「おう!」
やはりなと思った。今でもたまに信じれないが、綿野さんは不思議な力がある。特殊とか霊能的とはちょっと違う。なにか原始的。野蛮。破滅的。左脳がないような人だった。

「なんでわかったんですか?」

「お前の色が変わった。」

笑いながら冗談風に言うが、マジなんだと思った。
「ちなみにあれ嘘だろ?」
「何がですか?」
「俺の瞳の色」

「・・・何でそー思うんすか?」
「直感。」

綿野さんは直感で競馬をしたらいいのにと思った。

そしてなんだか笑えた。

「お前の色を俺は視れない、お前は俺の色を視れない。」
そう言った綿野さんだが、嘘と見破った彼には僕の視た’色’を視れたのか。またそれは何色か。

今となっては気になる所です。

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