Categories: 洒落怖

声の主

この怖い話は約 3 分で読めます。

46 : 本当にあった怖い名無し : 2011/12/04(日) 02:54:16.81 ID:veGHgml+0
ここでかなりテンションのあがった私と母は、お泊り荷物セットの片付けもそこそ
こに写真を撮り始めました。
とにかく部屋のいたるところを私はとり、母は窓から見える景色をしきりに
撮っていました。

ちょうど夕日が完全に沈み込んで、母が夕日と海の写真を「綺麗綺麗!!」と
キャイキャイいいながら撮っていたときです。
突然ピタッと不自然に、母は喋るのをやめました。
不審におもって「どうしたの?」と声をかけると、母は突然カーテンをシャッと閉めました。
無言で反対側のカーテンもシャッとしめて、母はニコッと笑いました。

「ん?ああ、ちょっとはしゃぎ疲れちゃったから、温泉いこうとおもって!」

47 : 本当にあった怖い名無し : 2011/12/04(日) 02:55:38.30 ID:veGHgml+0
母にしては奇妙な笑い方だった気がしますが、まあ確かに歩きつかれたことも
ありましたし、一応曲がりなりにも虚弱体質な母を思えばそうなんだろう、と
そのときは納得して一緒に温泉へ浸かりにいき、布団も敷いて就寝の運びとなったのですが。

電気も消してさあ寝るぞ!となったところで母が突然

「Mさん、ちょっとあなたのバックかしてくれない?」
「なんで?」
「添い寝するから」

意味がわかりませんでした。
けれども母はしきりに私のバックと添い寝したがってましたので、まあ、
そういうこともあるかもしれない、と無理やり私自身を納得させて、
私のバッグを母に貸し与えて就寝しました。

49 : 本当にあった怖い名無し : 2011/12/04(日) 02:57:37.95 ID:veGHgml+0
その晩、私は付属してるお風呂場のほうから変な気配を感じて、薄目を開けました。
私はあんまり霊感のあるほうではないのですけれど、そこに何かいるとか、
気配を読む(?)ことが稀にあるので「あー、何かいるんだなぁ、まあ古そう
なお宿だし、いても可笑しくないよね」と特に怖がりもせず結論付け、
一応母の方を確認しようと寝返りを打ちました。
母は私のバックを何か大切な宝石箱でも守るような形で横抱きに抱え込み、
私のほうを向いて(左半身を天井に向けて)寝ていました。
何かおかしい、どうしたんだろうこの母は。
そもそも何で私のバックなんか抱えるなんて言い出したんだろう、と
このときになってようやく考え出しました。

50 : 本当にあった怖い名無し : 2011/12/04(日) 02:59:11.69 ID:veGHgml+0
母が抱きしめている私のバックは外行き用の小さめのバックで
(母から言わせれば「ずた袋」だそうですが)母の友人の小物屋さんから
母が買い、私にくれた物でした。
特に何かいわれがあるとかいうものではありません。
中に入ってるものも特にこれといったものは入っていません。
お財布にお化粧品とスケジュール帳と、実家の方でいつもお世話になっている
天狗様のお守りとおI勢さまの鈴守りとN智大社で買ったお守りとN智の滝の杯しか・・・。
そこまで考えてから、母はもしかして、この大量のお守りに用があったのかもしれない、
と思い至りました。
それから、そういえば母がこの部屋に持ってきた荷物には、母がいつも持ち歩いているお守りの類が一切なかったということも思い出しました。

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