Categories: 洒落怖

バッドトリップ

この怖い話は約 3 分で読めます。

バイト先で知り合ったヤツとの話を書く。
ドラッグとかそういうのが嫌いな人は読まないほうがいいかも。
じゃ、書くね。後にも先にもこの時だけだった、ハッキリと見たのは。
その友人をWとする。その当時、Wが結婚を考えている恋人がいて、Jとする。
Wとはバイト先で知り合った。シャブ好きというのですぐに意気投合。
ヤツのヤサは練馬高野台に建つ築30年越し、古ぼけたマンションだった。駅からわりとすぐで、5階建て。
一階入り口の宅配ボックスだけがきれいで余計に浮いている。やはり宅配業者の要望があったのだろうか。
ワンフロアに2部屋ずつというつくり。エレベーターがなく、階段で5階まで上がるというところからも古さが分かると思う。
今はたしかエレベーターって義務付けられてなかったか。
5階にも扉は2つあるけど、もうひとつのドアを開けると屋上テラス。
Wの部屋に入ると、いきなり魚の腐ったような、でもどこか人工的な化学的な…そんな悪臭が漂っていた。人の家の匂いって色々あるとは思うが、強烈だった。アレを早くキメたら慣れると思って、何も言わずあがる。

トイレの電球が点かないらしい。交換してもすぐ消えるんだと。道理で、入って直ぐの台所に、電球のみが何十個と詰められたゴミ袋があるわけだ。
彼女に子どもが出来たから結婚が近いとか言ってたけど、今日は彼女が実家にもどっているため、
男同士、独身最後のドラッグパーティという企画だった。
早速それじゃあって感じで、Wとキメ始めると、夜が更けるにつれ、慣れると思っていた例の、魚の腐ったようなでも化学的な匂い、が濃くなる一方だった。
シャブを炙るとかなり臭いんだがそんなものではなかった。明らかに異常な嗅いだことのない匂い。
…おかしいだろと思い、一旦外の空気を吸って少し落ち着こうと思い、コンビニへ行こうというと、一緒に出かけることになった。

675 2/5 sage New! 2011/05/01(日) 17:29:22.62 ID:BArBN8k60
501号室のドアを空けてフロアに出る と、当然テラスへのドアが目に入って来る。
Wを伴って屋上に出てみると、隣の駐車場、そしてその反対側はこのマンションとちょうど同じくらいの高さの建物が建っていた。
だけどその距離というのが異常で、ビルとビルの隙間が幅1メートルも無い。
こっちの屋上から向こうの屋上に飛び移れそうなくらいすぐ隣に建っている。
全ての窓が暗い。壁は白く、聞けば、産婦人科だとWが答えた。
飛び移ってみろよ、やだよ、なんて言いながら、柵の隙から下を覗くと、何かみえた気がした。
赤ん坊のような影が、蜘蛛みたいに隣の壁、2階部分くらいの高さに張り付いている…

目の端にひとつ見えた気がしたその瞬間、全身が総毛立ち、その影ががさがさと登ってくるイメージが一気に湧き上がり怖くなってすぐ室内に戻りたくなってしまった。
見るとWも顔が青ざめており、何も言わずコンビニにも行かず部屋に逃げこむ。しかしまた大麻など一服してみると、ふたりして同じ幻覚とはキメ過ぎたか、などと笑いも出てくるくらいにはなり、あれやこれやと嗜むうちにいつの間にか寝ていたらしい。

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