Categories: 洒落怖

信仰心

この怖い話は約 3 分で読めます。

そんな彼女が大学2年生の夏期休暇の時に転機が訪れる。
イタリアに住む祖母の下に里帰りをした際に、彼女が独学で解読を進めていた書物の中で
正体不明の言語で書かれておりどうしても解読ができなかった召喚の呪文の部分が
ようやく判ったのだと言う。
正体不明の言語はアラム語だった。それが判ったことでとうとう彼女はその呪文を詠唱する術を得た。

それと時を同じくして彼女に新しい友人が出来た。
彼女が言うには、イタリアからの帰りの飛行機の機内で隣席になったことがきっかけで仲良くなったイタリア人留学生で、
極めて聡明で、彫刻のように美しい容姿を持ちながらも他を圧倒することなく、
何故か人を安堵させる雰囲気を纏った男性だった。

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464 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/31(水) 21:04:30 ID:u8rcBOA6P
それから間もなく彼女の身に変化が起こり始めた。
元々勤勉であったため成績優秀ではあったが、それが輪をかけたように突出するようになり、
その1年後には、在学したまま会計士の資格を取得するまでになった。
そしてその試験会場で偶然出会った男性と意気投合し恋仲になった。
彼は、今まで彼女に言い寄ってきていた他の男とは違い、彼女の結婚するまでは純潔を守ると言う
考えにも理解を示してくれる聡明な男性だった。
また、偶然買った宝くじに当選して大金を手に入れ、お金に不自由することもなくなった。

その後、大学4年生になり卒業を控えた彼女は大手会計事務所への内定と彼との婚約も決まり
幸せの絶頂にいた。
そんな中、彼女は唐突にこの世を去った。カトリック教徒として大罪とみなされる自殺によって。
ベッドに横たわった状態で自ら頚動脈を切り死んだそうだ。
さぞかし凄惨を極めた死に様かと思われたが、彼女の両親曰く
周囲の大量の流血とは対照的に、死に顔に苦悶の表情は全く無くて不気味なまでに美しく、
大量の流血をしているにも拘らず、顔には全く血飛沫がかかっていなかったそうだ。

何故彼女は幸せの絶頂の最中自殺したのか?
その答えは、自殺の少し前に彼女が幼馴染である友人にだけ語ったことに起因しているようだ。

大学2年生の夏に、魔導書に従い召喚の儀式を行った。
アラム語の詠唱で喚び出されたものは、神々しい光を放ち慈愛の雰囲気を纏い、
この世のものならぬ美しさを持つ男性だった。
そう、あなたも良く知る、私が機内で出会ったとイタリア人留学生と語ったあの男性。
私は彼を召喚出来たことで自らの真の信仰心を証明出来たと歓喜した。
そして彼こそは私の信仰心に呼応して主が遣わした守護天使だと信じて疑わなかった。
現に彼が現れた後の私はあなたも知っての通り数々の幸運に恵まれた。
しかし、私は何もわかっていなかった。私が受け継いだ書物の真の意図を。

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