Categories: 洒落怖

雨乞い師

この怖い話は約 2 分で読めます。

238 234 sage 2010/02/06(土) 05:34:37 ID:WOtrqvdH0

 ひとつだけ祖母に聞いてみた。
 そんな塚、村の外に移せばいいんじゃないか?と。
 祖母の答えでは、一度そんな考えも出たのだが、途端に村を焼けるような大日照りが襲ったのだという。
 雨乞い師を村の外に出すと元の水不足に戻る。
 本当かもしれないが、単なる強迫観念かも知れない。
 どちらにせよ、村人は雨乞い師を殺害した。
 村の日照りを防ぐために。
 それは許されることなのだろうか?

 俺はこの話を、盆明けになってTの見舞いに行った時に聞いた。
 話のとおり重傷のTは、元の通り歩くのは難しいらしい。
 しかしTを見たところ、体よりも精神的な、生きる力を見失っていることの方が問題だと感じさせた。
 それが強大な雨乞い師の力に接したためか、自分の祖先でもある村人たちの選択によるものかは分からない。

Page: 1 2 3

bronco

Share
Published by
bronco

Recent Posts

祖父の遺品

3年前くらいなんだけど、半ボケ…

4年 ago

三つの選択・ひとつ作り話をするよ

いつものように僕の部屋に集まる…

4年 ago

白い傘と白い服

友人と遊んだ後、雨降ってるし時…

4年 ago

着信

俺が住んでる地元であった本当の…

5年 ago