Categories: 洒落怖

母親の言葉

この怖い話は約 3 分で読めます。

小学6年の頃、Aという知的障害を持った同級生が居た。
こいつはほとんどの授業を養護学級で受けてたんだけど、
ときどき俺たちの教室で一緒に給食を食うことがあった。

Aは常に鼻水やヨダレを垂れ流し、ニヤニヤと笑ってる奴だった。
俺は子供ながらに、そんなAが薄気味悪くてしょうがなかった。
Aが給食を食いに来たときは、みんな腫れ物にでも触るような、
先生までもが異様な緊張感を持っていた。

何故なら、一度クラスの問題児Bが、
先生が給食の最中にトイレへ立った隙に、Aの口に無理やりコッペパンを押し込み、
Aは顔を真っ赤にしてむせ返りながら激しく嘔吐、それだけならまだよかったんだけど、
吐き出したゲロの中に、明らかにゴキブリと思われるものや、ミミズ、カナブン、
頭がもげて胴体だけになった虫が数匹混じっていた。
教室は女子の悲鳴と男子の叫び声で大パニックになった。
先生が駆けつけ、Bはその場で先生に殴られ号泣、
Aは口と鼻からドロドロの胃液をぶら下げたまま、
「あかあさぁぁああーーーーーん!!!!」と、何度も泣き叫んでいた。

そしてその日の午後、Aの母親がクラスへ乗り込んできて、
俺たちの目の前で先生のことを無茶苦茶に罵倒した。
Aの母親は、まるで鬼婆のような見た目だった。
細く鋭い三白眼の目、白髪の混じったボサボサの髪をくくりもせず、
虫食いのある毛玉だらけのセーターと、糸がほつれた短パンを履いていて、
前歯の何本かが真っ黒になっていた。
見た目に圧倒されて何を言っていたのかあまり覚えてないけど、
「お前なんか教師をする資格ない!今すぐ辞めろ!教育委員会に訴える!」
そんなことを叫んでいた。

452 本当にあった怖い名無し sage 2010/01/03(日) 22:57:18 ID:nBEKKaPR0
先生は顔面蒼白のまま、言われ放題なのを我慢していた。
教室の空気は完全に凍りつき、Aの母親が帰ったあと、
何人かの生徒は具合が悪くなり早退し、
先生までもが体調不良で早退していった。
後日、先生とBと、Bの母親で連れ立って、Aのもとへ謝罪しに行ったらしい。
それからほどなくして、Bは転校してクラスから居なくなった。

このことがあってから、Aが給食を食べにくる時は、
クラス全体が異様な緊張感で包まれるようになった。

そしてある日、俺の目の前でAが給食を食うことになった。
机を挟んで向かい合わせに座ったAは、いつものニヤけ顔で飯を食い、
牛乳を手にとって飲もうとした瞬間、俺と目が合い動きを止めた。
牛乳瓶をもったまま目を大きく見開き、口をパクパクさせながら何か言おうとしてる。
ただでさえAのことを嫌っていた俺は、その顔を見て無性に腹が立ってきた。
「何だよ・・・何見てんだよ」
あの鬼婆のような母親のことを思い出すと、強くは出られなかった。
ただ、言い方は悪いけど、まるで障害児に馬鹿にされてるような気がして悔しく思い、
せめてもの反撃じゃないけど、Aのことを精一杯睨み付けてやった。

Page: 1 2 3

bronco

Share
Published by
bronco

Recent Posts

ブライダルフェア

いや、たいして怖くないんだけど…

4年 ago

教祖の妻の肖像画

親が昔、へんな宗教にはまってた…

4年 ago

The Body

10年くらい前の話だけど・・・…

4年 ago

謎の曲

出所が分からない所からの楽曲ダ…

4年 ago

エレベーターで見たもの

じゃあ俺が生涯で一番ビビった話…

4年 ago

強烈な遺体

久しぶりに民話でなく現代の話を…

4年 ago