Categories: 洒落怖

母親の言葉

この怖い話は約 3 分で読めます。

母「ちょっとS、昨日のA君のお母さんから電話がかかってきたんだけど、
 どうしてもSに変わってくれって言ってるの。どうする?
 嫌だったらいいのよ。お母さん断ってあげるから」

熱のせいで体もだるく、到底あの鬼婆と話すような気力はないと思ったけど、
もし電話に出なかったことで逆恨みされ、家族にまで何されたら怖いと思い、
いやいやながらも電話に出ることにした。

俺「もしも・・・」
 「もしもし、Aの母親ですけど、S君ね?」

酒焼けのような汚い声だったけど、先生に罵声を浴びせた時と違って、
優しい喋りかたで、俺は緊張はいくらか解きほぐされた。

 「昨日はAがごめんなさいね。実はあの子、見えるのよ」
俺「えっ・・・見えるって・・・」
 「昨日Aに聞いたらね、S君の肩のところに、真っ黒な顔をした女の人が、
 頭や口から血を流しながら笑ってたんだって・・・」

Aの母親の神妙な話し振りに、俺はどんどん血の気が引いていくのを感じた。

456 本当にあった怖い名無し sage 2010/01/04(月) 00:02:34 ID:YmrZonMx0
 「でもね、大丈夫。だってほら、人ってどうせいつかは死ぬんだし、
 あんたもそうやって五体満足で生まれてきて、Aに比べれば随分楽しい思いもしただろう」
俺「えっ・・・」
 「お前らみたいに自分がどれだけ恵まれてるかも知らずに、
 人の不幸も理解できない馬鹿親に育てられてるクズは、化物にでも何にでも呪われて死ね!
 それがお似合いなんだよ!!!あははは!さぞ怖い思いするだろうねえ!
 前のBって奴は、転校した先で畑のトラクターに轢かれて死んだらしいぞ!あははは!!」

携帯をもつ手が冗談みたいに激しくガタガタと震えて、
異変を察した母が携帯を取り上げた。

母「ちょっと、どうしたのS!もしもし、A君のお母さん!?もしもし!!!」

すでに電話は切れていたらしい。

457 本当にあった怖い名無し sage 2010/01/04(月) 00:17:28 ID:YmrZonMx0
それから一週間、俺は熱がまったく下がらず、
病院に入院することになった。病名は肺炎だといわれたけど、
そうじゃないのはすぐにわかった。新しい薬を点滴されるようになってから、
吐き気や頭痛がとまらなくなった。数日後、髪の毛がごっそり抜け落ちた時、
俺は、これはテレビで何度も目にした白血病の症状とまったく同じだとすぐに気づいた。

Aの母親に言われたことは誰にも言わなかった。
たぶん俺はもう死ぬに違いない。毎日毎日、治りもしないのに
苦しい治療ばかりされて、死にたいと思うようになった。

仲の良かったCは何度も見舞いに来てくれたけど、
Cが中学に上がってからはほとんど見舞いに来なくなった。
生きる希望なんてものはまったくなかったんだけど、奇跡的に骨髄提供者が見つかり、
俺は今現在23歳になるんだけど、再発がないまま何とか生きている。
あの時のAの母親の言葉は、俺を怖がらせるための嘘だったんだろうか。
ふとそんな風に思うときもある。これもきっと、恐怖心が生み出した幻覚に違いない。
俺さ、見えるんだよ、今。自分の肩のところに女の顔が・・・。

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