Categories: 洒落怖

落城にワケあり

この怖い話は約 3 分で読めます。

二、三年前の友人の話。
お払いというか供養代わりに話してくれということです。
少々フェイクあり、長文です。

私の友人(以下N)は歴史が好きで、昔から趣味でそういう小説を書いている。
その頃、彼女が書いていたのはとあるお城が落城した時の話で、多くの女性や子供が犠牲になったらしく、
小説はそのお城の生き残りという設定の女性が主人公だった。
ただNは、最初は主人公が生き残った後の話を書くつもりだったので、落城自体を深く掘り下げる気はなかったらしい。

ところがNが小説で落城のことを書いていると、ちょくちょく小さな変異が起こるようになった。

風邪でもないのに寒気が止まらなくなったり、誰もいないはずの深夜のアパートの屋上で足音や話声やうめき声がしたりしたらしい。
二度ほどパソコンから小説のデータも消えたそうだ。
最初はたいして気にしてもいなかったが、やがてNは落城のことを書いていると変異が起こることに気が付いた。
試しに原稿から落城のシーンを消してみたら変異が止まったが、元に戻すと再び起こるようになったらしい。
Nは結構カンが良く時々妙な目にあうタイプで、この時点で「これは下手に触ったらまずいネタなんじゃ…」と思ったそうだ。

だが、Nはこの小説をどうしても書きたかった。
直接城跡には行ったことこそなかったものの(あまりメジャーなお城ではないので)、下調べに一年以上かけていた。
話の大筋は信じられないくらいすんなり出てきたし、
想像で書いた部分が、後で調べたら実際の記録とぴたりと合っていたことが何度もあったりと、
Nなりに運命的なものを感じていたそうだ。
なので、Nはこの小説に関してかなり気合を入れてて、全く退く気はなかった。
しばらくの間、Nは怪異を無視して執筆していたという。

ところがその年のお盆。
落城した日がその一月程後ということもあって、Nはなんとなく急いで書いていたそうだ。
だが少し気分が悪くなったので(これは単に暑気あたりらしい)、Nは部屋で横になった。
そのうち寝入ってしまって、Nは妙にリアルな夢を見た。

685 2/5 2009/11/06(金) 20:30:28 ID:YVT3dqap0
夢の中でNはどこかの山にいたらしい。

Nは、話の舞台のお城の割と近くにある観光地の山に似ている、と思ったそうだ。
車でかなり上まで登れる山で、上には売店があって、その裏手の斜面には夏なのに雪が大量に残っていた。
雪のあるゾーンの近くには涼もうとする観光客が沢山いたんだが、
サンダルでは危険だということで、ちゃんとした靴を履いていない人が入らないよう、係員が規制をかけていた。
Nはちゃんとした靴を履いていたのですんなり通してもらえた。
「上にお地蔵さんがあるので、手を合わせて来て下さい」
係員はNにそう言ったので、別に構わないと思ったNは「はい」と素直にうなずいた。
雪の斜面を登っていくと少し平らなところがあった。
だが、お地蔵さんが見当らない。

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