Categories: 洒落怖

徘徊

この怖い話は約 3 分で読めます。

540 ピコリコ sage New! 2008/04/23(水) 17:30:25 ID:zg5v7PPEO
しかし、詳しく聞いたらどうやら占有屋的なことをやってるらしい…
『~~~~とゆうわけだから今は俺の家』だってさ。
占有屋手伝わされるんだと思って慌てた。仕事もあるし無理だと伝えたが『おもしろいもん見せてやるから一晩だけ泊まってけ』とのことだった。
家の回りにはカタギには見えない債権者(おそらく)がいて、俺はガクブルだったがTさんには逆らえなかったので一晩だけ泊まることにした。

家の中は、テレビもねぇ!ラジオもねぇ!って感じ。

Tさんが売り払ったのか債権者が回収したのかは知らんけど空っぽだった。
クリーニングも済んでない。まぁ、Tさんが占有してんだから当たり前だが。
中にはTさんの後輩の坊主頭がいたけど、すぐにTさんが帰らしたんで二人っきりになった。
話すこともないし酒飲んだ。
たいした会話もなく、しばらく飲んでるとTさんが酒買ってくると言い出した。
俺も行こうとしたんだが家を空っぽにはできないとのことで却下された…
(そういや、おもしろいもんって何だったんだ?)そんなことを考えながらぬるいビールを飲んでたら2階から足音がした…
俺はとっさにゴルフクラブ(Tさんが持ち込んだ)を片手に身構えた。
債権者が2階の窓から侵入したと思ったから
今考えればそんな無茶するわけないけどそん時はそう思ったんだよね。
殺られる前に殺れ!じゃないが2階に特攻した…

2階の4畳くらいの和室にオッサンがいた。

50代くらいの作業衣着た工場の社長サンって感じのオッサン…

541 ピコリコ sage New! 2008/04/23(水) 17:32:02 ID:zg5v7PPEO
マジで債権者が侵入してきたんだと思った。
そんぐらいハッキリ見えるオッサン。
でも、生きてる人間とはちょっと違った。うまく表現できないけど幽霊だってわかった。
頭に浮かんだのは(自殺)競売物件だったし。
気付いてないふりして、そーっと忍び足で1階に降りたよ。触らぬ神になんとやらだし。
俺は、(見える)けど(はらえる)わけじゃない。
はらう力があったとしても方法を知らない。それに、他人の家でたまたま遭遇した幽霊をはらうなんて、幽霊にしてみりゃ迷惑な話だ。
とにかくTさんの帰りを待つしかなかった。
(おもしろいもんって、多分アレだな…)とか考えながら一度読んだヤンジャンを何度も読み直してると視線を感じた。
Tさんか?と思い振り返ると…

オッサン下りてきやがった。

オッサンから目が離せなかったよ。でも、どうやら気付いてるのは俺のほうだけ、オッサンは気付いてないみたいだった。
ずーっとオッサンを眺めてた。最初の印象は、オッサンが何か探し物をしてるんだと思った。
でも、どうやらオッサンに目的はないみたい。俺にも全然気付かずに家中を徘徊してる…
例えるならSIRENの前田父って感じ。
前田父と違うのは規則性がないことかな?階段と玄関の間をふらふらしてる…だけ。
なんか漠然と(無害かな?)って思ったんだが得体の知れないものはやっぱり怖い。
そんな状況でも逃げ出さなかったのはオッサンよりTさんが怖かったからだな…

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