この怖い話は約 4 分で読めます。

先輩達は私を置いて行く前に、「地下行って来い。」と楽しそうに言ってきました。
10万円も貰った私はさして気分も害せず受け入れて、地下に向かいました。
家事があったのは本当らしく、まっ暗な中でもライトの光で壁中焦げて真っ黒になっていました。
地下はそんなに広くもなく、目に付く所と言えばお風呂の浴槽のようなものだけでした。

車の前に戻り、「壁が真っ黒だった。火事でなんやらゆうてたやん。」と報告すると、
先輩達は「おー」と嬉しそうに聞いていました。
そして明日の朝9時に迎えに来る。と約束をして、私一人を残して車で山を降りていきました。

508 本当にあった怖い名無し New! 2011/04/08(金) 01:19:33.97 ID:kja+wGxR0
残された私は「あいつホンマに迎えくるんやろうな。」と少し心配しながら、
その廃墟の一番マシそうな横になれる所をみつけて、埃を払い、座り込みました。
時刻は深夜1時くらいで、どうやって暇を潰そうかと、とりあえず携帯をいじっていました。
誰かに電話して時間を潰そうにも時間が時間ですし、
電波はギリギリアンテナが一本立つか立たないか程度なので、あきらめました。

しかしこう山奥にもなると、怖いのは幽霊より野犬とかじゃないのか。と考えました。
廃墟は地下以外は外に剥き出しですし、地下は汚れがひどい上にさすがに気味が悪い。
これはうかつに寝ると危ないな。と考えていました。

あまりに暇なので、もし幽霊が出てきたら。等と考えたりもしていました。
「まあびっくりはするかなあ・・。」等と思っていたら、睡魔が押し寄せて私は簡単に眠りに落ちていました。
目を覚ますと、午前5時を過ぎたところでした。
夏場だったので結構明るくなっていたし、私は山を迷わない程度に散歩することにしました。
野うさぎがいて軽く感動したりして、こういう自然もいいなあと思い廃墟に帰り、9時を待ちました。

509 本当にあった怖い名無し New! 2011/04/08(金) 01:21:25.91 ID:kja+wGxR0
9時になっても先輩は来ませんでした。
電波の良さそうな場所を探して電話をかけたのですが、友人の家で泊まった先輩二人は、
「すまん寝てた。」と寝起き声で言っていました。
大体予想通りだったので私は「ええからはよ来い。」と強めに言って、迎えを待ちました。

迎えが来たのは11時半を過ぎたところで、先輩二人と友人、あと先輩Aの彼女が車に乗っていました。
先輩達は「なんかあったか?」としきりに聞いて来ましたが、私は「特に何も」とありのまま話しました。
つまらなさそうでしたが、「まあそんなもんだろう。」という結論に落ち着き、
早速山を降りるため私を乗せ車を発車させました。

発車して間も無く、私は自分の足元が誰かに掴まれているのに気がつきました。
後部座席は端から私 友人 先輩Aの彼女となっており、二人とも両手は見えていました。
私は総毛立ちましたが、「ええ?このタイミング?」とも考えちょっと可笑しくなりました。
511 本当にあった怖い名無し New! 2011/04/08(金) 01:23:25.12 ID:kja+wGxR0
私は夏場なので膝までのパンツだったこともあり、直に足を掴まれていました。
掴まれているというより、その手は思い切り爪を立てて食い込ませるように痛みを与えてきました。
しかし私が騒ぐことによって車中がパニックとなり事故を起こすのが狙いかな。とも考えました。
私は「なんかありそうな聞いた事あるような話しやな。」と思いながら必死に平静を装い、
また一番見られてはいけない隣にいる友人に気づかれないよう、前のめりに座って影で隠していました。

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bronco

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