この怖い話は約 3 分で読めます。

887 : 6 : 2012/04/28(土) 08:48:53.17 ID:7eUxgPD+0
あまりのことに硬直する道麿呂。
すると燈台人間は突然眼を見開き、唇を
がっとかみしめた。だらだら流れる血を必死に指にとり、
太股に血文字をしたためた。「石根」と。

石根は新羅の人間によって、奴隷として売り飛ばされていた。
抵抗すれば、喉を薬によって潰され、指を
切断され、流れ流れて揚州の地で、
人間燈台「燈台鬼」にまで身をおとしていたのである。

888 : 本当にあった怖い名無し : 2012/04/28(土) 09:03:57.99 ID:7eUxgPD+0
道麿呂は顔が母親に似ていた。
そして母親の歌、その二つが石根に道麿呂が
自分の息子であることを悟らせたのだ。

道麿呂は宴の主に必死に頼んで、
父である燈台鬼を譲り受けた。

道麿呂は父を持衰として、帰りの船に乗り込ませた。
持衰とは、航行中に髪もとかず爪も切らず、
精進を続けて海の神をなだめる役。
髪やまつげは眉は蝋で焼かれ、顔に醜い彩色をぬりこまれた
父をあやしまれずに帰国させるにはその方法しかなかった。
帰国後、しかるべく身を整えて、母に会わせるつもりだった。

ある、嵐の夜、「持衰が海に身を投げた!」という
叫びがひびきわたった。
あわてて甲板に走り出た道麿呂に、一枚の紙を差し出す者があった。
「必死に父を探し出す努力をしてくれた息子。
しかし父は燈台鬼に身を落としていた。
どうしていまさら国に帰れようか。」
といった趣旨の漢詩がしたためられていた。
父の断腸の思いが込められた漢詩であった。

893 : 本当にあった怖い名無し : 2012/04/28(土) 10:26:30.63 ID:Omv3xkl9i
>>889
宴の席順に文句を言って、大使のメンツを潰して拉致され奴隷に
これだけでも大馬鹿なのだが、奴隷にされた先で上手く立ち回れば、灯台鬼にまではされなかったろうしなぁ

898 : 本当にあった怖い名無し : 2012/04/28(土) 12:47:12.72 ID:Wqx4cPLy0
>>893
エリート意識が抜けなくて、抵抗してるうちに
どんどん奴隷としての価値がなくなり、
燈台鬼化したのかもな。
頭固いやつみたい。そもそも席次についても

石根「前回(30年前)来たときは新羅より上って
皇帝言ってたし!」
唐側「30年も前の事言われたって知らんがな。
まあしらべておきまっさかい、ここはひとつ。」

みたいな感じだったし。

905 : 本当にあった怖い名無し : 2012/04/28(土) 17:08:30.55 ID:3McHazY70
>>880-888
ちなみに
小野石根は実在の遣唐使で溺死した人物だが、
新羅と席次でもめた(これも実際の事件、ただし酒宴ではなく正式な儀式での話)のは
もっと前の時代の大伴古麻呂という人物
抗議した理由は新羅は日本の朝貢国(格下)だから
さらに大伴古麻呂は無事に帰国している(この時鑑真を連れて帰った)

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