この怖い話は約 3 分で読めます。

331 : 本当にあった怖い名無し : 2012/05/13(日) 14:36:17.75 ID:eJoW44y20
ギシッ ギシッ ドドン
遂に廊下に降り立ったらしい。抱え込んだ両膝が震え出した。両腕に力を込める。
ドン ドン……
気のせいか音が大きくなった気がする。より大胆に。襖まであと何メートルだろうか?
ドタドタドタッ
いきなり距離を詰めてきた。「ぁあ……」思わず声が漏れる。もう襖のすぐ後ろにいるに違いない。
襖がガタッ ガタッとぶつかりながら開いていく。四つん這いだからスムーズに開けられないのか。
廊下側には想像した通りのモノがいた。白い服を着て四つん這いになった髪の長い、異常に長い女。
まず両手が畳を滑るように入ってくる。肌が青白い。そして腕が長い。そのままテーブル下まで
入ってくるんじゃないかと思えるほどだった。
次に頭が、というか髪が入ってきた。毛先が生きているかのようにじわじわと茶の間を浸食してくる。そして
「ぉお……ぉお……」
まるで効果音のような呟き?を微かに響かせながら頭が入ってきた。次の瞬間腰から下が一気に入ってきて茶の間を這い始めた。
テーブルの周りを回っているように見える。もうすぐ俺の潜む角の真横に来る!
ズリッ ズリッ
もっとも近くなる瞬間。毛先が首筋に触る。ザラついているかと思いきや、サラサラで気持ち良いくらいだった。
そう感じた瞬間、ピタッと動きが停まった。

332 : 本当にあった怖い名無し : 2012/05/13(日) 14:47:36.64 ID:eJoW44y20
気付かれた。小便がじわっと漏れるのを感じた。
ドン
テーブルの上に飛び移った。髪が下まで垂れ込んでくる。
ドンドンドン
テーブルを這い回っている。
「あ゙ぁ゙……あ゙ぁあーー」
苛立っているかのように耳障りな声を出している。
「あ゙、あ、あぁ……あ゙っ、あ゙っ、あ゙っ」
不意にトーンが変わった。まるで笑っているかのようだ。何があった。何が。
「あ゙っ」
振り返らなかった。振り返れなかった。恨めしいほど鮮やかにイメージできる。
逆さまになった顔がテーブル下を覗いている。髪が畳を覆い尽くしている。俺のすぐ後ろ。つくぐらい後ろ。憑くくらい後ろ。
小便が広がっていく。開いた口から涎がつーと垂れた。涙は出なかった。

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