この怖い話は約 3 分で読めます。

もう遅い時間だ。このまま直帰しよう。家のパソコンに落として会社のパソコンへメールしようか。稟議はもう出来ているし、あとは写真だけだもんな・・・。明日会社へ早めに行って完成させよう・・・。
携帯で上司に直帰の許可を得た。

自宅に戻り缶ビール飲みながら写真の整理に入った。
どの写真も問題なかった。
作業をしながらあの子供のようなシミのことをまた思い出した。
なんだったんだろう・・・しかも広がっていたよな、2回目見たとき・・・。
そのとき学生時代に友人から聞いたある話を唐突に思い出した。

その話とは・・・。
ある夜バイパスでばぁさんが手押し車を押して歩いていた。
そこを一台の車がばぁさんを跳ね飛ばした。
夜のバイパス、誰も跳ね飛ばされたばぁさんのことは気づかない。
次々に車はばぁさんを引き続けた。
翌朝、ばぁさんの死体はセンベイみたいにペチャンコになって10メートル四方くらいに広がっていたらしい。

559 ③ sage 2009/09/09(水) 23:49:59 ID:zEIxBXPZ0
その夜俺は夢を見た。
広がったばぁさんのセンベイを食べていた。
その味って言うか夢にもかかわらずもの凄い異臭のようなものを感じた。
でも食べなきゃいけない。
そして夢の中で臭いセンベイを食べ続けた。

2週間後、俺はそのパチンコ屋に出向いた。
その社長と専務に俺は上司が書いた台本どおり報告した。
「残念ながら今回の融資は決済が降りませんでした。力不足で申し訳ございません。」
社長と専務は放心した・・・。

その月の末、そのパチンコ屋は破産した。
社長は倒産を苦に自殺した。

それから1ヵ月後の夜。
得意先回りの帰りそのパチンコ屋の前を偶然に通りかかった。
つぶれたパチンコ店には人っ子一人いやしない。

いや・・・いた。
だだっ広い駐車場の真ん中あたりに小さな何かが上下に動いている。
俺は目をこらした。
あの場所は確かあのシミがあったところじゃあ?
異様な光景を俺は見た。
小さな子供が縄跳びをしている、それも一人で。

564 ④完 sage 2009/09/09(水) 23:54:03 ID:zEIxBXPZ0
「うわ何だ?ありゃ?」
そのとき妙な臭いと何とも言えない苦い味が俺の口の中に広がっていった。
あのばぁさんのセンベイの臭いと味だった。

あれから俺は関連会社に出向させられている。
何か俺は普通じゃないんだって、上司いわく。
心療内科にも通わされて。
食欲はあるよ、好き嫌いなく。
センベイ以外は・・・。
【終わり】

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