Categories: サイコ

おかしな家族

この怖い話は約 3 分で読めます。

712 712 2011/08/27(土) 10:22:07.33 ID:ft9FsHsR0
俺が小学校高学年ごろの話。
夏休みが終わってから同じクラスに登校しなくなった女子が居て、顔を見なくなった。
新しい教科書を渡してほしいという名目で、集団登校が一緒だった俺に白羽の矢が立った。要はちょっと様子を見てこいということだったんだと思う。

もう夏が終わりかけていて、その日はもう太陽が沈んでいたのでちょっと涼しい風が吹いていた。
便宜上その女子をA子としよう。
A子は以前から割と控えめで、それまで一緒に遊んだりしたことがなかった。あまり目立たない感じではあったがイジメを受けているわけでもなく、友達をつくるぐらいの要領は持っているような静かなタイプの女子だった。
貧乏でもないし、特別、裕福というわけでもない。二階建ての家に住んでいて、ちゃんとした両親も居る。
不登校になるような原因は思い当たらなかった。

A子の家のピンポンを押す。少ししてドアがきしんだ。
ドアの覗き窓から誰かが俺を見ているのだ。
それが異常に長かった。少なく見積もっても1分以上は見られていた気がする。
視線のやり場に困って右の方を見るとA子の家の犬が夏バテでもしているのか、ぐったりと地面に寝そべっていた。体も顔もピクリとも動かないが、ギラギラした目だけが俺をずっと見ていた。

犬から目を離せずに居ると、ドアが少し開き、A子が「ああ、○○くん。待たせちゃってごめんなさい今お料理してたの」と笑顔を見せた。
ドアの気配からして、ずっと覗き窓から俺を見ていたのはA子だったはずだ。
想像していたよりA子は元気そうだった。
普段より活気を感じさせるほどの様子に少し安心して、事情を話し教科書を渡して帰ろうとするとA子にせっかくだから上がっていってくれと強く引き留められた。
「いま私一人しか居なくて暇してたのよ」と彼女は言って俺の手を取った。

713 712 2011/08/27(土) 10:23:20.48 ID:ft9FsHsR0
家の中は、玄関入って目の前に階段がある間取りで、二階のあたりから階段を照らす灯り以外は全て落とされて真っ暗だった。
他人の家の臭いというのはだいたいにして違和感を感じるものだけど、A子の家のそれは何か異質な感じがした。
家の臭いに混じって、ほのかに便所のような臭気があった。

二階のA子の部屋も同様に灯りがついていない状態だった。
ただ、ゲームの途中と思われるテレビの灯りだけが煌々と部屋の中を照らしていた。嫌な汗が流れるのを感じた。
A子が不登校になったのは、精神的に何か異常をきたしつつあるからなのではないだろうか。
連れられて部屋に入るなり、横から「よお」と声をかけられ、飛び上がって確認するとA子の兄だという。テレビの光でようやく顔が見えた。
A子の家は電灯を落とした部屋に居るのが常態化しているのだろうか。
さっきA子は一人だと言ってはいなかったか。

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