Categories: 洒落怖

きょうこさん

この怖い話は約 3 分で読めます。

795 本当にあった怖い名無し 2008/02/05(火) 01:44:08 ID:v2UsNMmc0
縁側に彼女が腰をかけてもそのお爺さんは「きょうこさん、よう戻ってきた」
などと変わらず、意味不明のことを彼女に言うので、彼女はこのお爺さんは
きっと少し痴呆が入ってるのだ、と解釈し「いえ、私はただの通りすがりの
者で、きょうこさんじゃありませんよ」と言ってみたのだが、お爺さんは
全く聞く耳をもたない。
次の瞬間、彼女は意識を失ってしまい、ふと気がつくと母屋の中の仏間に
お爺さんと二人でなぜか座っていた。彼女は自分の意識がなぜ飛んだのか
わからなかったが、お爺さんはまた一方的に彼女に話しかけてきた。
「昼の間は他のもんは出払っとって、ワシ一人じゃけえのう」彼女は気味悪
さをこらえつつ「あ、そうなんですか?でも、納屋の方にひょっとしたら
どなたかいらっしゃるんじゃないですか?」と聞きかえした。すると、
「ああ、あれは家の孫の子なんじゃが、結核を患ろうて、ここに置いとるだけ
じゃ。数のうちには入りゃあせん」とお爺さんは言う。
「ああ、病気の療養されてるんですか。それは大変ですね」と彼女が言った
瞬間、何者かが彼女の腕をギュッと掴んだ。
びっくりして彼女が自分の腕を見ると、3歳くらいの女の子が腕を掴んでいた。
いつの間にその部屋に来たのか、まったくわからなかったのだが、その少女は
無表情な顔でじっと彼女を見つめている。

796 本当にあった怖い名無し 2008/02/05(火) 01:57:42 ID:v2UsNMmc0
彼女はもう、本能的にこの家がただごとではないことに気がつき、逃げようと
したのだが、体がまったくいうことをきかない。
するとお爺さんが「こりゃ!この人はおまえのお母さんじゃあないんで!」
と女の子を叱りつけたそうだ。
次の瞬間、彼女は目を疑った!
なんと女の子はいきなりお爺さんに飛びかかり、首筋に噛みついたのだ!
しかも、先程の無表情な顔とは一変し、獣のような牙をむき出しにし、赤く
光る不気味な目を輝かせながら!彼女の話では本当に身の毛もよだつような
恐ろしい顔だったそうだ。
とにかく彼女はもう、限界だった。逃げようと体を起こそうとしたのだが、
体がまったく言うことをきかない。ふと自分の体を見ると、畳の中から無数
の手が伸びてきて彼女を掴んでいたのだ!
そればかりではない。その無数の手は彼女を掴みながら、
「きょうこさん、やっと大旦那さんのとこに帰ってきてくれたんじゃねえ」
「もうどこにも逃げられんよ~」
などと語りかけてくるではないか!
もう、彼女は気を失いそうになった。そしてふと横にいたお爺さんを見ると
先程まで首筋に噛み付いていた幼女は消え、そのお爺さんはお爺さんでは
なく40代の中年の男になっていたのだ!
その男も周りの手の声と同調するかのように、「きょうこさん、あんたは
もう戻れんのんじゃけえねえ」とニタニタ笑いながら語りかけてくる。
まさに、どうしようもない状況であったらしい。

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