Categories: 洒落怖

階段怪談

この怖い話は約 3 分で読めます。

553 本当にあった怖い名無し sage 2013/01/10(木) 01:56:45.87 ID:WXkp8cckI
休日の学校は、心なしかなんだか薄暗い。不気味な雰囲気に包まれながら、俺らの”階段怪談”は二週目に入った。

Aの怪談が終わる。ルール通りなら、コレで六段目。
あと半分だ。
誰もがそう思っていただろう、その時。

ギシッ……

と、確かに音がした。

思わず、顔を見合わせる俺ら。
「気のせいだろ」とは、誰も言えなかった。
正直この時点で俺はかなり帰りたくなっていた。他の奴らもそうだろう。
しかし、ルールに『途中で止めてはいけない。』とあるので、そういうわけにもいかなかった。止めたら、どんなことが起こるか分からなかったから。

Bが怪談を始める。
すると、急に空気が変わったのを感じた。
重苦しく、何かに閉じ込められたかのような雰囲気。
ヤバイ、コレは多分本当にヤバいやつだ…と俺含め全員が思った。

Bの怪談が終わる。

……ギシッ…

俺の背後でまた音が鳴った。
あと五段。
登り切ったとき、何が起こるのか?
もはや誰も強がりを言うやつはいなかった。Dちゃんは殆ど半泣きだった。

554 本当にあった怖い名無し 2013/01/10(木) 02:01:33.07 ID:WXkp8cckI
Cの怪談が終わる。

……ギシッ…

気のせいじゃない。
確かに聞こえる。
背後に何かがいるのを感じる。
俺の前に座るAは、必死で顔を伏せていた。
恐らくすでに顔を覗かせているだろう”それ”を、見ないようにしているのだろう。

次は俺の番だった。
俺は必死の思いで、用意してきた怪談を語り出した。
その時。

「気~ぃづいてるんでしょぉ~~?」

と、真後ろで女の声がした。

思わず息が止まった。誰かがヒッと声をあげる。
隣ではDちゃんが嗚咽をあげていた。

しばらく沈黙した。
どうすればいいのかを考えたかったが、頭がうまく回らない。
俺は続けるしか無いと思った。途中でやめるのを禁止されている以上、それ以外に考えつかなかったから。

556 本当にあった怖い名無し sage 2013/01/10(木) 02:04:35.55 ID:WXkp8cckI
声を震わせ、何度もつっかえながら、俺の怪談が終わる。

……ギシッ…

「「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」」

階段を登る音と共に、急に何処からともなく大量の笑い声が起こった。
後ろで女が手をパンパンと打つ声も聞こえる。

もうみんなが泣いていた。

次のDちゃんはつっかえつっかえ、短い怪談を10分以上かけて話した。
もはや誰の耳にも内容は届いていなかった。

…ギシッ……

「アト、二だ~ん」
女の声だ。

「「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」」

汗が玉になって噴き出すのを感じた。もう、ほんのすぐ後ろまで来ている。
階段を登るときの衣擦れの音が聞こえるくらいに。

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