Categories: 洒落怖

出前のアルバイト

この怖い話は約 3 分で読めます。

なんて冗談交じりの営業トークが出来るぐらいの余裕は取り戻した
その後受け渡しと支払いは滞りなく終わり俺は帰路についた
それから閉店の22時までは店長とダベりながら掃除や片づけをし、今日の売り上げの
清算をするいつもの流れに戻った

206 本当にあった怖い名無し New! 2013/04/05(金) 01:41:23.96 ID:u9dRlFjE0
注文を取った伝票を照らし合わせながら電卓で計算していくと2000円以上売り上げが
不足していた
10円やそこらの差額はたまにあり、自分の財布からこっそり足すことはあったが
この差額はあまりにも大きい
横で清算を見ていた店長も

「心当たりは?」

と首をかしげていた
札一枚どこかで落としたなんてことは有り得るが料金があまりにも中途半端なので
今日宅配で回った伝票の額と差額を照らし合わせていく
答えはすぐに出た、あのマンションに宅配にいった時の伝票に書いてあった額だけが
すっぽり抜け落ちていた
恐らく○○学生マンションを訪問して帰るまでにお金をどこかに忘れてきたという
ことを説明すると店長は更に首をかしげながらこう言った

「マンションの名前間違ってるんじゃないか?もう一回ちゃんと調べてみろ」

指示の意図がよくわからずもう一度ゼンリンを開き住所の場所を指すと
店長は奥から持ってきた学生寮の住所や大家さんの電話番号が
記録されてるノートをめくりながら更にウンウンと唸っていた
俺は差額について特に咎められることもなく賄いを食べその日は下宿に帰った
普段は結構口を酸っぱくして指導するタイプの店長がこの日に限ってこんな
なぁなぁな対応だった理由を知るのはその数日後のこと

207 本当にあった怖い名無し sage New! 2013/04/05(金) 01:42:19.32 ID:u9dRlFjE0
次のシフトに入った時、店長から

「もしこの前のA田さんからの注文来たらやんわりな」

というお達しがあった
これは理由を付けてやんわり断れという意味だ
いたずら電話だったり悪質なクレーマーに店がこの措置を取ることは以前から
知っていたがいきなりすぎたので俺も

「何かあったんですか?」

と質問してしまった
店長は「まあちょっと○○(俺)にも気味の悪い話で悪いんだけど」という前置きで
煙草をふかしながら話し始めた
あの学生マンションは5,6年ぐらい前までは店の常連だった人が経営していた
らしく、その繋がりで結構住人にも贔屓にしていたそうだ
しかし、その常連さんが病死してからは管理する人間がいなくなったことで学生寮は閉鎖
まあ学生寮の閉鎖自体はここ数年の流れを見てもそこまで珍しいことではない
というのが店長の談
そんな事情があったからこそ先日そのマンションに宅配に行ったという俺の話を聞き
もしかすると親族の人間が新しく経営し始めたんじゃないかと思い昨日の昼間、
挨拶と下見も兼ねて寮まで行ってきたそうだ

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