この怖い話は約 4 分で読めます。

279 赤ババア続き sage 2007/08/28(火) 18:53:44 ID:POn/DGo90
その穴の入口は、ちょっと屈まないと入れない程度の大きさだったが、
中は思ったよりも広くなっており、普通に立つことができた。
ただ、奥行きは余りなく、スグに行き止まりになっていた。
照明は無いので、中の詳しい様子は分からなかったが、左右と突き当たりが階段状になっているようで、
とりあえず俺はそこに腰を下ろした。
が、尻に何かゴツゴツしたものが当たり、それが床に転げ落ちた。
床に落ちたことで、入口から僅かに差し込む光にそれは照らし出された。
それはどうみても、人間の頭蓋骨だった。

俺達は叫んだ。
そして穴から出ようとした。
途端に入口からの光が遮られた。

「ブッ、ブッ、ブッー!」

じじいの屁の音が聞こえてきた。
見るとじじいが出口を塞ぐように穴に尻を向けてたちはだかっており、
盛んに屁をこきだしたのだ!!

「ブッ、ブッ、ブッー!」

狭い洞穴に閉じ込められた上に、ガス攻めである。
しかも、誰のものとも分からない人骨が転がっているのである。
この人骨も、俺達のようにここに入り込んだ者の慣れの果てであろうか?
今にして思えば、屁ごときで死んだりはしないと分かるが、
当時の俺達はマジで殺されると思った。
ジジイの屁で。

280 赤ババア続き sage 2007/08/28(火) 18:54:27 ID:POn/DGo90
俺が半ば死を覚悟したその時、Aが思いもよらない行動に出た。
「うわ~っ!」と叫びながら、ジジイに体当たりをかましたのだ!
斜面に中腰でこちらに尻を向けるという不自然な体勢だったのが幸いして、
ジジイは簡単にはじけ飛び、斜面を転がり落ちて行った。

「早く逃げろっ!」

Aの声に促され、俺とBも穴から飛び出し、猛ダッシュで逃げる。
どこをどう走ったのか、良く覚えていないが、やがて目前に
木の土止めが施された階段が見えてきた。
一目散で階段を駆け上がると、ガラス張りの温室のような雰囲気の建物の脇に出た。
振り返ると、ジジイが階段を登ってきているのが見えた。
俺達は休む間もなく、走り続け、ようやっと見覚えのある場所に出た頃に、
午後6時を知らせる「夕焼け小焼け」のメロディーが流れてきたのであった。

警察に知らせようか? という案も出たが、他人の土地に勝手に入ったという
後ろめたさもあり、また、落ち着いて考えてみると、
あの頭蓋骨も岩か何かの見間違いだったのでは?
という気もしたので、その日は真っ直ぐ家に帰ることにした。

281 赤ババア続き sage 2007/08/28(火) 18:55:58 ID:POn/DGo90
翌日俺達はAの家に集まり、昨日の出来事を振り返っていた。
するとAのおばあさんが、ジュースとお菓子を持ってきてくれた。
その際に俺達の話しを聞いていたのだろう、おばあさんは俺達にあの場所について、話しをしてくれた。
おばあさんの話しによると、あそこは、その昔、この辺を治めていた領主の子孫が住んでいる所で、
「シュコの山(シュケだったかも)」と呼ばれているそうだ。
で、俺達が見た赤ババアや浴衣オヤジ、屁こきジジイはその子孫の一族だろうということだ。
しかもシュコの山は彼等の墓地でもあり、俺達が見た土饅頭や洞穴は先祖代々の墓ということらしい。
と、なると、俺達が見た頭蓋骨は本物だったということだ。
彼等は墓守として、あの場所を大事にしており、部外者の侵入には特に厳しいそうだ。
俺達はおばあさんから、二度とあそこに近づくなと厳しいお叱りを受けた。

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