この怖い話は約 3 分で読めます。

27 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/08/19 23:06
YとHが懐中電灯で室内を照らし出すと、意外な程片付いた室内が現れました
というより、ほとんど何も無かったのです
部屋の正面奥に置かれた祭壇のようなもの以外は
Yがその祭壇を照らし出しました
それは実際には祭壇と呼べるようなものではなく、小さな長方形の机の上に
両脇にはカップ酒のコップを花瓶代わりにして花(と言っても、雑草のような物)を
生けたものが置いてあり、
その真ん中にお札が立てかけてありました
「ん、ジンカ?何だこれ読めねぇや」とお札に書いてある漢字を見て、Yが言いまし

私もお札の文字を見ましたが、漢字の苦手だった私には読めず、何かお経の様なもの
が書いてあるのかなと思いました
と、それまで黙っていたHが突然その祭壇を蹴り上げたのです

28 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/08/19 23:06
ガシャンと音を立てて、祭壇はひっくり返りました
私とYがびっくりしてHの顔を見ると、Hはひっくり返った祭壇を見下ろしながらポ
ツリと「仕返しだよ」と言ったんです
その時です
何とも形容し難い「ゴォォォォォォォ」という唸り声というか、音というか、とにか
く得体の知れないものが聞こえたのは
どこかから聞こえるというより耳のすぐそばから聞こえる様な感覚で、不協和音とい
うか生理的に不快なものでした
地震が来る時に、遠くから地響きの様な音が聞こえる事ありますよね
あの音を人の声で叫んだような、とにかくこの世のものとは思えない恐ろしいもので
した
私は声にならない声を上げながら廃屋を飛び出し、暗闇の中を森の出口へ駆け出しま
した

29 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:03/08/19 23:07
YとHもすぐに私の後を追い、お互いに先に行く者を引っ張り合いながら、我さきに
と走りました
何度も窪みや木の根っこにつまずき、転びながらなんとか崖まで辿り着き、崖を滑り
降りて森の外へ出ました
サレジオに着くと、自転車に飛び乗りお互いの事など気にも留めず、とにかく早くあ
そこから離れたい一心で自転車を漕ぎました
私は無意識になのか、家の方へ自転車を走らせていて、このまま帰ろうと自転車を漕
ぐ足を速めました
もう他の二人はどこへ行ったのかも分かりません
自転車を必死に漕ぎながら、ずっと私のすぐ後ろを何かが追ってくる様な感じがした
のを今でも覚えています
後にも先にもあれほどの恐怖を感じたことはありませんでした
息も絶え絶えに家に着き、両親の寝室に駆け込み母親の布団に入りました
母親は私の様子に驚き、「どうしたの?何かあったの?」と何度も聞きましたが、私
はただ「何でもない」と答えるだけでした
直感的にこの事は誰にも話しちゃいけないと、思ったのです
私はいつの間にか、眠りに落ちていました

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bronco

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