この怖い話は約 3 分で読めます。

と思って逃げようとした。
その時、駐車場に続く遊歩道の方から誰かがこっちに歩いて来るのが見えた。
僕は慌てて近くのツツジの植え込みの中に隠れた。
僕は小柄でこれまでに何度か遊びで隠れたことがあったのだ。

歩いてきたのは男が三人と子供が二人・・・
子供!?
あいつらだ・・・
僕を置いてけ堀にした四人(山口・福田・辻田・大場)の内そこにいたのは福田と辻田の二人だった。
男達に囲まれて真っ青な顔をしていた。
連中が橋まで来ると下から声がした。

「捕まえたか?」

「一人逃げられました」

「・・・とにかく連れてこい」

男達は二人をせき立て遊歩道から無理矢理下に飛び下りさせた。
男達も続いた。
視界から消えた。
声も聞こえない。
逃げるなら今。
しかし体が思うように動かない。
万が一見付かったら逃げられるか自信がない・・・
心臓は回りに聞こえるほど強く打っている。
そのまま長い時間が過ぎたように思えたが、実際は数分だったろう。
下から

「ドンッドンッ」

と鈍い音が時を隔てずに二度聞こえた。

『殺されたんだ・・・』

僕はそう直感した。
心臓は胸を突き破る勢いで動いている。
このまま僕も死ぬかもしれないと思った。
涙で目が滲んできた。
しゃがんだ足が痺れてきた。
すると、階段の方からぞろぞろと男達が歩いてきた。
下を移動する足音は聞こえなかったからビビって尻餅を付きそうになったが何とかふんばった。
男達の内三人が肩に何かを背負っていた。
一つはあの青い物体だったが残りの二つは黒いごみ袋のようなものだった。
中身は考えるまでもない。
男達は近付いてくる。
間もなくここを通過する。
僕は祈った。
しかし足の震えは最高潮に達している。
しかしツツジの枝を掴む訳にはいかない。
来た!通りすぎる・・・
ほっとしたその時、強い風が吹いて青のシートがわずかにめくれ上がった。
僕は見てしまった。
サンダルを履いた足。
山口・・・
もう限界だった。
僕はゆっくりと後ろに倒れていった。

「誰だ!」

『もう駄目だ・・・』

男の一人が倒れている僕を見付けて引きずり出した。
僕は涙や涎を流しながら口をパクパクさせていた。
男達に取り囲まれた。
その中の一人のがっしりした初老の男がしゃがんで顔を覗き込むようにして聞いてきた。

「あんた、あそこで何してた」

僕は頭が狂いそうになりながら答えた。

「うっ、うっ、うんこ、を」

「本当か?」

「は、はい」

背後から肩に手が置かれた。
首筋をぐっと掴まれた。

「見たのか・・・」

「いひっ、いっ、いひぇ、み、みぢてません」

首を掴む力が強くなった。
頭が痺れて意識が遠のいていった。
その時、じわぁと股間に暖かい感触が広がっていった。
男はじっと僕を見つめていたが、流れ出す小便を避けるように立ち上がった。

「あんた、名前は?」

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