この怖い話は約 3 分で読めます。

275 名前:270続き 投稿日:02/08/21 23:16
母が姉に何があったのか尋ねてみたところ、「あそこに女の人がいた」とだけ言いました。
母は不思議そうな顔をしてテーブルを見ていましたが、「早く寝なさい」と言って、3人で寝室に戻りました。

私は布団の中で考えました。アレを見て叫び、寝室に行って母を起こして、居間に連れてきたちょっとの間、
姉は居間でずっとアレを見ていたんだろうか?
姉の様子は普通じゃなかった。何か恐ろしいものを見たのでは?そう思っていました。

そして次の日、姉に尋ねてみたのです。
「お姉ちゃん、昨日のことなんだけど・・・」
そう訊いても、姉は何も答えません。下を向いて、沈黙するばかり。
私はしつこく質問しました。
すると姉は、小さな声でぼそっとつぶやきました。
「あんたが大きな声を出したから・・・」

それ以来、姉は私に対して冷たくなりました。
話し掛ければいつも明るく反応してくれていたのに、無視される事が多くなりました。
そして、あの時の事を再び口にすることはありませんでした。
あの時、私の発した大声で、あの女はたぶん、姉の方を振り向いたのです。
姉は女と目が合ってしまったんだ。きっと、想像出来ない程恐ろしいものを見てしまったのだ。
そう確信していましたが、時が経つにつれて、次第にそのことも忘れていきました。

中学校に上がって受験生になった私は、毎日決まって自分の部屋で勉強するようになりました。
姉は県外の高校に進学し、寮で生活して、家に帰ってくることは滅多にありませんでした。

ある夜、遅くまで机に向かっていると、扉の方からノックとは違う、何かの音が聞こえました。
カン、カン
かなり微かな音です。金属っぽい音。
それが何なのか思い出した私は、全身にどっと冷や汗が吹き出ました。
これはアレだ。小さい頃に母が風邪をひいて、私が代わって消灯をした時の・・・
カン、カン
また鳴りました。扉の向こうから、さっきと全く同じ金属音。
私はいよいよ怖くなり、妹の部屋の壁を叩いて、「ちょっと、起きて!」と叫びました。
しかし、妹はもう寝てしまっているのか、何の反応もありません。母は最近ずっと早寝している。
とすれば、家の中でこの音に気付いているのは私だけ・・・。
独りだけ取り残されたような気分になりました。
そしてもう1度あの音が。
カン、カン

私はついに、その音がどこで鳴っているのか分かってしまいました。
そっと部屋の扉を開けました。真っ暗な短い廊下の、向こう側にある居間。
そこは、カーテンから漏れる青白い外の光で、ぼんやりと照らし出されていた。

279 名前:270続き 投稿日:02/08/21 23:19
キッチンの側から居間を覗くと、テーブルの上にあの女がいた。
幼い頃、姉と共に見た記憶が急速に蘇ってきました。
あの時と同じ姿で、女は白い着物を着て、すらっとした背筋をピンと立て、
テーブルの上できちんと正座し、その後姿だけを私に見せていました。
カン、カン
今度は、はっきりとその女から聞こえました。
その時、私は声を出してしまいました。
何と言ったかは覚えていませんが、またも声を出してしまったのです。
すると、女は私を振り返りました。
女の顔と向き合った瞬間、私はもう気がおかしくなりそうでした。
その女の両目には、ちょうど目の中にぴったり収まる大きさの、鉄釘が刺さっていた。
よく見ると、両手には鈍器のようなものが握られている。
そして口だけで笑いながらこう言った。
「あなたも・・・あなた達家族もお終いね。ふふふ」

Page: 1 2 3 4 5 6 7 8

bronco

Share
Published by
bronco

Recent Posts

迷い

霊とかとは全然関係ない話なんだ…

6年 ago

血雪

全国的にずいぶん雪がふったね。…

6年 ago

母親の影

私が小6の時の夏休み、薄暗い明…

6年 ago

閉じ込められる

彼はエレベーターの管理、修理を…

6年 ago

彼女からの電話

もう4年くらい経つのかな・・・…

6年 ago

テープレコーダー

ある男が一人で登山に出かけたま…

6年 ago