この怖い話は約 3 分で読めます。

…とはいえ、全ては過去のこと。
アレを見た後でも、私の身の周りでは特におかしな事はなく、
幸運なことに、家族の中で病気をしたりケガしたりする人もいませんでした。
姉も妹も元気そうにしてるし、母も父も、ここ8年で変わったことはないようです。
もはやあの「家族がお終い」という呪いの言葉だけではなく、
白い着物姿の女を見たことさえも夢だったのではないか、と思い始めていたところでした。
耳にこびりついているあのイヤな音だって、いつかきっと忘れるに違いありません。
絶対に大丈夫!!と自分に強く言い聞かせ、私は実家に向かいました。
帰省を避けていた本当の理由を母に悟られないよう、
せめて実家にいる間は明るく振舞おうと心に決めていました。

471 カン、カンその後 2 :2010/01/04(月) 16:47:09 ID:+c8UOsBv0
家に帰った私はほっとしました。
父も母も、妹も姉も元気そうで、久しぶりに帰省した私を見て、
卒業は大丈夫なのか、彼氏はできたのか、などと、お約束のお節介を焼くのでした。
あれほど気にしていた母も変わった様子はなく、ホテルの清掃業のパートで日々忙しいとの事でした。

しかし姉に話しかけることだけは気まずく、躊躇われました。
その理由は、8年前のあの出来事があってから、姉は私のことを、今日まで徹底的に無視し続けたからです。
幼い時、あの真っ暗な居間で、私が大声で叫んだことが絶交のきっかけに違いなく、
私に対する姉の冷たさは、尋常なものではありませんでした。
そんな姉が実家で発した言葉に、私は耳を疑いました。
「あんたのこと、ずっと無視しててごめん」
まさか、かれこれ8年も無視されていた姉から、謝罪の言葉があるとは思わなかった。
「私こそごめんなさい。でも、突然どうしたの?もしかして、何かあった?」
驚きのあまり、聞かない方がよい事まで聞いてしまったような気がしました。

姉はどこかぎこちない表情を浮かべましたが、
昔使っていた姉と私の共用部屋に私を招いて、話をしてくれました。
「あたしのうちでね、あの音が聞こえた」
あの音、という言葉を聞いただけで、私は何かひんやりとしたものが背筋を伝うのを感じました。
姉はそんな私の様子を見てから、話を続けました。
「あの日、仕事から帰ってきたのが夜9時頃。
 で、部屋でテレビ観てたんだけど、風呂場のほうでカン、カンって。
 ちっちゃい頃、あんたと一緒にその音を聞いたことがあったから、すぐに分かったよ。これはやばいって。
 近くに同僚が住んでたから、ソッコーで家を出て、その友達のところに行ったの。
 その友達んちで話をしてたら、また風呂場のほうからカン、カンって。おかしな鉄の音だった。
 友達も私もパニックになって、部屋を出て警察を呼んだ。
 結局風呂場には何も無かったし、一応部屋も調べてもらったけど何もなかった」

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bronco

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