Categories: 洒落怖

賽銭泥棒

この怖い話は約 3 分で読めます。

なんで地蔵?
車に乗ってる???

「いやちょっと待って、意味わかんねー、どういうこと?」
「とぼけんなよ!足元に地蔵載せただろ!?」
「ほんとにやってねーって!」

怒っている兄貴に事情を説明して、向こうの話も聞いた。
兄貴が言うには、助手席の足元にボロい地蔵が乗っていたらしい。
朝、出勤する時に気付いて降ろそうとしたけど、重くて持ち上がらず、
時間もないから仕方なくそのまま出勤したらしい。

もちろん俺はやってない。
後輩たちがそんなことをした様子もなかった。
第一、俺がガレージに車を戻した時には、確かに地蔵なんて乗ってなかった。

兄貴は俺の言い分を信じてくれなかった。
俺が悪ふざけでやったと思ってるようで、ずっと怒っていた。
「ちゃんと始末する」って言ったら、やっと電話を切ってくれた。

地団駄のような音は電話の最中もずっと続いてた。
ドンッ!ドンッ!ドンッ!!!て、少しずつ激しくなってた。

71 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/19(火) 14:13:00.25 ID:UJNum0ep0.net
2人の後輩に電話した。とくに変わったことはないって言ってた。
なんで俺だけ…という気持ちで電話を切った。
家にいるのは耐えられないから、チャリで外に出て、公園で時間をつぶした。

夜になって兄貴が帰ってきた。俺の顔を見るなりひっぱたいてきた。
いつもだったら俺も応戦するけど今日はそんな気になれなかった。
ドンドンって音は家族がいる時は鳴らなかった。

深夜、後輩2人を家に呼び出した。
2人は地蔵が乗ってる車を見て「すげ~w」「いつの間にwww」なんて
大笑いしてた。俺の気持ちも知らずにのんきだった。

地蔵は重かった。2人がかりでやっと持ち上がる重さ。
「センパイこれ持てるとか怪力じゃねwww」とか言ってた。
この期に及んで信じてないらしい。

車から降ろした地蔵を、群れの端に戻した。
パクった賽銭も返したかったけど、もう使った後だったし、後輩も同様だったから、
俺が財布から5000円出して、壊れた賽銭箱に入れといた。
手をあわせて「すみませんでした、すみませんでした」って心の中で何回も謝った。

車で家に戻って、怖いから猫を抱いて寝た。
次の日から地団駄のような音はしなくなった。
金欲しさだろうが粋がってだろうが、賽銭泥棒はしないほうがいいぞ。

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bronco

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