Categories: 洒落怖

煙人間

この怖い話は約 3 分で読めます。

355 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/31(日) 17:42:18.95 ID:v8Et83/Q0.net
動かない体のコントロールを取り戻そうと四苦八苦していたところ、
玄関の、ほんの少し開いた隙間から何かが入ってくるのが見えました。
もくもくとした黒い煙というか、霧というか、そういう物体でした。
体を動かせない僕はただただ恐怖するしかありません。頭皮から冷たい汗が吹き出します。

その煙は寝ている僕の左横まで来ると動きを止め、不定形の黒い塊になりました。
どうすることもできず見ているうちに、それが徐々に変形していきました。
30秒くらいかかったでしょうか、やがてその黒い塊は人間の形になりました。
全体的にもやもやとしてはいますが、頭、胴体、腕、足がそれとわかる形になりました。
高さは5~6歳の子供の身長くらいでした。

357 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/31(日) 17:43:45.95 ID:v8Et83/Q0.net
そのまま、その物体、煙人間とでも言いましょうか、それは何をするでもなく
その場にずっと立ったままでいます。
全身真っ黒で目に当たる部分がないので分かりませんが、見下ろされているような感覚でした。

もうその時には僕は恐怖で発狂寸前です。ああ、何だか分からないけど多分僕はこいつに殺される。
人に恨みを買うような覚えは何もないけどきっとこいつは僕を殺すためにここに来たんだ。
わざわざ金縛りまでかけて。
ああ、でもまだ死にたくない!神様仏様、悪魔でも天使でもなんでもいいから助けて下さい!
・・・目をつぶって必死に祈りました。

358 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/31(日) 17:44:41.72 ID:v8Et83/Q0.net
その時です。
それまで全く動かなかった体の、右半分だけに突如感覚が戻ってきました。
急に右半身だけ自由に動けるようになったのです。
左側・・・その煙人間がいる方の側だけは相変わらず麻痺したままでしたが。

359 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/08/31(日) 17:45:56.04 ID:v8Et83/Q0.net
無我夢中で、僕は寝床の横にいつも置いている金属バットをひっ掴みました。
当時僕が住んでいた地域は空き巣や傷害事件が多発している
治安のあまりよくないところでしたので、
万が一暴漢に寝込みを襲われた場合、とっさに身を守るための道具として、
常に布団の右側にバットを置いていたのです。
全握力を込めてバットを握りしめ、自由になった右半身で思い切り反動をつけて、
バットを煙人間に体ごと叩きつけるような形で左側へ寝返りを打ちました。
バットは煙人間の脳天から股下を綺麗に貫通し、そのまま床の畳を勢い良く叩きました。

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bronco
Tags: 金縛り

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