Categories: 洒落怖

人のようなもの

この怖い話は約 3 分で読めます。

ドアを激しく叩かれた後、ドアノブが回って、ドアがさっきまでの激しさが嘘みたいにゆっくり開いた。
そう言えばさっき逃げたくて鍵を開けたんだった。。と何処か冷静に考えたけど、全く動けなくて、ただそれを見ていた。

790 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/09/25(木) 19:25:45.09 ID:KFdodOLy0.net
ドアはチェーンをしたままだったから、すぐ止まった。そしたら暫く音が止まって、隙間からあの光る手と顔が覗いた。

さっき窓に貼りついてた時は気づかなかったけど、普通の人間よりかなり大きかった。
ドアの隙間から鼻と口、そんで太い指をねじ込もうとしていた。大き過ぎて指も数本しか入らなくて、チェーンに引っ掛けて外そうとしてるけど、うまく触れないみたいだった。
こっちを覗き込んでくるわけでもなく、ひたすら鼻と口、つまり顔の中心から押し入ろうとするみたいにぐりぐりねじ込んできて、でも当然入るわけない。

これが、不思議な位無音の状態で続いた。ドアだけが押し付けられるたびにチェーンとこすれてガチャガチャいってたけど、それでもそんな激しい感じではなく、ゆっくり…。
顔と指がゆっくり押し入ろうとする度に、ガチャ…ガチャ…みたいな感じでゆっくり鳴って、めっちゃ怖くて腰抜けてるんだけど、どこか現実感がなくて映画をみているような感じだった。

どれ位の時間だったかわからない。
鳥の声が聞こえた。
それで、外が薄っすら明るくなってるのがわかった。
そしたらその顔がふっとドアから離れて、指も抜けて、そのまま静かになった。

腰が抜けたまま長時間同じ姿勢でいたから体が痛くて、上手く動けなかったけど、何とか立ち上がってドアを閉められるようになるまでもうそいつは現れなかった。

何が何だかわからない。
このマンションに住んで一年半、こんな経験どころか金縛りすらあったことはなかった。
曰くなんて聞いたことないし、改修工事で薄暗い以外の不満を感じたこともない、気に入ってた部屋だった。

今日明日は会社の友人の家に泊めてもらえることになり、土日のお昼にある程度荷物纏めて一旦実家に帰る。
大家さんに話も聞きたいけど正直衝撃的過ぎてもうあの部屋に戻る気になれない。多分、引越すことになると思う。

後日談

覚えてくれてる人がいるかわからないけど、何スレか前に、改装中のマンションの窓に謎の夜光マン(でかい)があらわれた話を書いた者です。
逃げようとしたら玄関に先回りされて、チェーンかけて開かないドアの隙間から、ずっと押し入ろうとされてたやつ。

あの後結局実家に逃げ帰って通勤片道1時間半の生活を送ってる。

あのマンションは通勤電車から見えるんだけど、見るのもちょっと怖いし、まあ見ないようにしつつ日々を送ってたのね。
でもその時結局何もされなかった訳で、いつまでも怖がってる自分がちょっと恥ずかしい様な気分にもなってきててさ。
今日朝来る時に見ちゃったんだ。

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