Categories: 洒落怖

報い

この怖い話は約 3 分で読めます。

先日、私の母方の祖父が亡くなりました。
死因は病死です。表向きは。

しかし、私は祖父の本当の死因を知っています。
本当の死因は、出血多量による失血死なのです。

実は、祖父は亡くなる三年前から癌を患い、入院をしていました。
そして、入院して二年程経った先月のある晩、その日は私と母が泊り込みで祖父の所に看病とお世話に行っていたのですが。
その時、比較的若い女性の看護師さんが点滴をかえにやって来ました。

そして、彼女が点滴を変えてから数時間程経った頃でしょうか、
私と母は祖父と同じ部屋で寝泊りをしていたのですが、誰かの呻く様な声で目を覚ましたのです。

まるで苦しむ様なその呻き声に、寝起きで回らない頭のまま辺りを見回してはっとしましたが、
そこは祖父の病室ですから、私と母と祖父以外居る筈がありません。
そして、ようやく事態をのみ込み、理解した私と母は慌てて祖父に駆け寄りました。

そう、やはり、その声の主は、祖父でした。
見ると、先程の看護師さんのミスでしょうか・・・点滴のホースジョイント部分が緩んでいたらしく、
寝返りをした際に外れてしまった様で、結果、シーツや枕には左手の手首から逆流してしまった祖父の血液が溢れ、
白い筈のベッドは真っ赤に染まり、まさに血の海となっていました。
祖父は生きながら少しずつ血を失い、朦朧としていく意識の中、
それでも必死に生きようと・・・誰かに助けを求める為に必死で呻きを、声を、上げていたのです。
私と母は直ぐにナースコールを押しましたが、時既に遅く、ただでさえ末期の癌で体力がなかった事に加え、
大量に失血してしまった為、宣告を受けていた余命より遥かに早く祖父は亡くなってしまいました。
しかし、あの鮮血にそまったベッド、真っ赤になった祖父の寝巻き、何より・・・苦しみに満ちたあの呻き声を私と母は忘れる事が出来ませんでした。
131 :夕紅 ◆e/DkDKVoCg @\(^o^)/:2015/03/13(金) 00:25:20.36 ID:NteTv0p/0.net[2/8]
そんな事があったものですから、私と母は長男である伯父はてっきり病院を医療過誤で訴えるものだと思っておりました。

そして、祖父が亡くなった次の日、長兄である伯父(母は五人兄妹の末っ子です)と担当医から
大切な話があるから病院の会議室の様な場所に来る様に言われ、行ってみると、そこには既に私や母以外の親族が全員集まっていました。
(今からここで医療過誤についての説明があるのだろうか・・・?)
私は、やっと祖父の無念が報われる、と少し興奮した気持ちで今か今かと伯父からの発表を待ちました。

すると、やっと伯父が徐に口を開き、話を始めました。
そこで伯父が話したこと・・・それは、祖父の死因は癌による容態の急変、という事でした。
(おかしい!!!)
私と母は顔を見合わせました。
しかし、私と母とあの夜の看護師、そして家が近かった為に直ぐに駆けつけた一番上の伯父以外事実を知る者はいませんでした。
その親族会議が終わった後、私と母は伯父に何故本当の事を言わないのかを問い詰めました。
すると、伯父は母を無言で、強い力で殴りつけ、「余計な事を言うな」とはき捨てる様に言うと、立ち去っていきました。

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