Categories: 洒落怖

南方仮面の間

この怖い話は約 3 分で読めます。

うちのビルには「南方仮面の間」と言われてる一角がある。
ビルのオーナーが南方の仮面を集めてるんだ。
東南アジアとかアフリカとかニューギニアで、部族が儀式で被るような仮面だね。

そこはビルのオーナーが経営してる会社の事務所前。
最上階の踊り場に設けられているスペースだ。
仮面は様々で、ユニークな物もあれば気味が悪い物もある。
屋上は休憩所なので、ビルの入居者はよく使うんだが、
行くためには必ず仮面たちの中を通る。
そういうわけで、この場所はちょっとした名物なわけだ。

面白い場所だと思ってるか、仮面には無関心か、大半はどちらかだ。
だが、何となく気味の悪さを感じて敬遠する人もいる。
自分は後者だ。
得体の知れない何かがいる様な気配を感じる。
誰かに見られているような、視線が向けられている様な、そんな感じは行く度にある。
何度か袖を引っ張られたように感じたこともあった。
そういうわけで、用がなければ近寄らないようにしていた。
142 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/03/14(土) 05:53:21.01 ID:m0vMDeTK0.net[2/4]
ある晩、自分は残業する羽目になった。
このビルで働く人は、ほとんどが夕方頃には帰ってしまう。
夜は一人だけでビルの中に残されるわけだ。

真夜中のビルは静かだった。
キーボードの音、表通りを時々通る車の音、換気扇の音、それら以外の音がない。
廊下も部屋も消灯されて真っ暗だ。
自分のデスクライト以外には明かりもないだろう。
何とも寂しい雰囲気の中、一人で黙々と作業をしていた。

書類を書いている中で、同僚のアドレスを打ち込む場面に出くわした。
が、覚えていない。
ケータイのアドレス帳から探そうと思い、ケータイを取ろうとしたが・・・
ケータイがいつもの場所にない。どうやらケータイをなくしたらしい。
最後にケータイを見た場所を思い返してみた。
・・・そういえば、屋上で昼食を食べた時、アプリを見せ合った。
ケータイに触ったのはそれが最後だ。
どうやら、昼食を食べた時に使ったベンチに置き忘れたようだ。
面倒だが・・・仕事を中断し、屋上までケータイを取りに行くことにした。

夜はビル全体が消灯している。廊下も階段も真っ暗だ。
豆電球がついたキーホルダーライトがあったので、それを頼りに階段を進んだ。
足元を照らしながら慎重に進んだ。
144 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/03/14(土) 06:26:27.50 ID:m0vMDeTK0.net[3/4]
階段を上り、最上階の手前まで来た。
そのとき、ふと誰かがいる気配を感じた。
自分のすぐ上・・・南方仮面の間から気配がする。
真っ暗闇の中だが、確実に誰かがいる。
ゆっくりと視線を上に移しながら、ライトで照らしてみた。
すると、そこには誰もいない。
気のせいだったか?
そのまま屋上まで上がって行ったが、その途中も気配は感じた。

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